虎の背番号3が巨人の永久欠番3の前で意地の2発を運んだ。阪神大山悠輔内野手(29)が「長嶋茂雄DAY」として開催された3日の巨人戦(東京ドーム)で2号、3号を連発し、2年ぶりの2本塁打をマーク。チームの連勝が3で止まり、2位巨人に2ゲーム差に迫られた試合で強烈な輝きを放った。記念の伝統の一戦で体現した4番の奮闘は敗戦の光。ミスタータイガースへ突っ走れ!

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大山が左中間席の最前列へ放ったアーチは10歳下の門別を始め、多くの人を勇気づけた。いきなり4点ビハインドでもすぐに1点を取り返した4番の1発。静かに燃える主砲は、勝利への執念をバットに乗せた。

今季初先発の門別が初回に4点を失った直後の2回先頭。巨人戸郷の高めのスライダーを捉えた。10試合ぶりの2号ソロ。岡田彰布監督(66)は「あんまり納得いく当たりじゃないやろけどな。ここはあんなんでもホームランなるからな」と心中を代弁した。だが一方的な展開になりかけた中で、主砲らしく振り切ったからこそ、反撃ののろしが上がった。

「長嶋茂雄DAY」として開催された伝統の一戦。通算444本塁打で誰もが認める長嶋氏本人が5回終了後にグラウンドに登場すると、大歓声が送られた。その背番号3は巨人の永久欠番。虎の背番号3もそのメモリアルゲームで存在感を発揮した。ダイヤモンドを1周し、ベンチに戻ると、満面の笑みの門別とハイタッチ。この1本では満足しなかった。

2本目は3-6の8回だ。巨人の4番手船迫から虎党が待つ左翼スタンドへ確信の3号ソロ。1試合2本塁打は22年6月17日DeNA戦(甲子園)以来686日ぶりで、自身10度目の快感。一時2点差に迫り、勝負を分からなくした。

そして9回。3連打で1点をかえして3点差に迫り、なお2死一、三塁で再び打席が回った。1発出れば同点だ。岡田監督も「9回な、ゲームセットまで何が起こるか分からんのやから、この球場やから」と期待せずにはいられなかった。だが代わった巨人泉の5球目、149キロ外角直球を打ち上げる二飛で試合終了。帰りの通路で真っ先に口にしたのは2本のアーチではなく、この場面だった。

「最後のチャンスが全て。ああいうところでつなげられるようにしないと。個人的にはそこが一番」と唇をかんだ。連勝は3で止まり、2位巨人に2差に縮められた。それでも最後まで諦めず、心底悔しがる主砲がいる。「僕が明日ズルズルいかないことが大事。そこを止められるように反省して、また明日頑張ります」。頼れる虎の背番号「3」が力強く勝利への貢献を約束した。【村松万里子】

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