東洋太平洋フライ級4位粉川拓也(34=角海老宝石)が、移籍2戦目の王座挑戦に失敗した。

V2戦の同級王者ジェイアール・ラクイネル(22=フィリピン)と対戦。初回に左カウンターでダウンを奪うも、強烈な左パンチに終始守勢だった。8回に左フックでダウンするとレフェリーが即座にストップ。8回57秒TKO負けで、東洋太平洋2階級制覇はならなかった。

粉川はスピードを生かし、リングを広く使った。かき回しにいったがプレスをかけられ、左を顔面とボディーにもらった。初回から苦しい展開も終了間際に左カウンター。ダウンを奪ったものの、2回以降も同じ展開が続いて、粉川は攻め手がなかった。

7回に細かいパンチで反撃したが、8回に強烈な左フックをもらって、ついにダウンした。後頭部をしたたかにキャンバスに打ち付けると、レフェリーがノーカウントで試合を止めた。大事をとって担架で医務室に運ばれた。

粉川は意識ははっきりとしていたが、試合の記憶は飛んでいた。昨年にジムを移籍して、2戦目でつかんだチャンスだった。「試合は記憶にない。最高の環境を与えてもらって感謝しかない。移籍してよかった。恩返ししたかった」と号泣した。

王者ラクイネルは昨年3月に中山佳祐(ワタナベ)から王座を奪い、同5月には小坂駿(真正)を下して初防衛していた。これで日本人にオールKOで3連勝。当時中山陣営だったジムの石原トレーナーは「すごい強くなっていた。何もできなかった」と脱帽。ラクイネルは「ダウンしたが、効いたパンチではなかった。楽しめた」と満面の笑みだった。