プロキックボクサーの石月祐作(30=KAGAYAKI)が2冠獲得に挑む。25日、KROSS×OVERスーパーフェザー級王座決定戦(東京・新宿フェイス)で足利正和(27=TEAM Aimhigh)と対戦。8月、DBS日本ムエタイ・スーパーフェザー級で初の王座に就いた。2つ目のベルトを手に入れ、メジャー団体のタイトル挑戦への足掛かりにする。

気負いも不安もなければ、もちろん油断もない。「ここからがスタート」。石月は2本目のベルト奪取に万全な状態で臨む。対戦相手、足利の試合は動画で確認した。「気持ちが強い。打ち合いを仕掛けてくる」。それでも「やることはいつも通り」と対策よりも自身の強みを前面に押し出すことを重視する。

8月、作田良典(35=GETOVER)に2回KO勝ちし、DBS日本ムエタイ・スーパーフェザー級タイトルを獲得。この時すでに足利との対戦は決まっていた。試合後、PCR検査で陰性の判定が出るとすぐに練習を開始。1週間で100キロを走り込んだ。気の緩みはない。9月から約120ラウンドのマスボクシングやスパーリングを重ねた。左右の連打にミドルレンジのキックと、武器を磨いてきた。

DBSタイトルは、ジム、そして自身も初の王座奪取だった。職場やジムの仲間など周囲の人たちから祝福された。感謝と同時に「支えてくれる皆さんをもっと大きな舞台に連れて行きたい」と、タイトルを守るよりも、攻めの気持ちが強くなった。

作田戦の勝ちっぷりで、首都圏のプロモーターから試合の打診が来るようになった。キック界のスター、那須川天心(22)が参戦する「RISE」で、18年にスーパーフェザー級新人王を獲得。もともと存在は知られている。KAGAYAKIの伊達皇輝代表(44)は「2つ目(のタイトル)を取れば評価が上がる」。白星を重ねればRISEのタイトル挑戦への道が見えてくる。

「まず目の前の試合に勝つこと。思い切り倒したい」。将来につながる一戦、足元を見つめながら、文句なしの結果と内容を自らに課した。【斎藤慎一郎】

◆石月祐作(いしづき・ゆうさく)1990年(平2)10月9日生まれ、三条市出身。三条第一中から加茂農林へ進学。高校中退後、15年にスポーツ道場「KAGAYAKI」に入門。16年にアマチュアの全日本トーナメントで優勝。17年8月に「RISE」でプロデビュー。戦績11戦9勝(6KO)2敗。170センチ。血液型B。