大相撲の元関脇で西十両11枚目の安美錦(40=伊勢ケ浜)が名古屋場所10日目の16日、現役引退を発表した。14日に師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)と話し合い、意思を伝えた。

この日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で体を動かした安美錦は、以下のように話した。

-引退を決断した

安美錦 出られるように努力を積んできた。残念な部分もあるけど、やることはやってきた。全部受け止めて出した結果なので、何の悔いもありません。膝の状態とも相談してきたが、思った相撲が取れない。無茶はできないと思った。

-親方と話し合った

安美錦 『引退します』という話をして。親方は自分の気持ちを心配してくれて、もう1回(土俵に)上がって、スッキリしてはという選択もあるんじゃないかと言ってくれた。自分としては上がらなくても、いつこうなってもいいようにやってきました。思い残すことはない。

-話し合ったのはいつか

安美錦 おとといの昼かな。一晩考えてみろと言われて。

-引退を決断しても、昨日も今日も稽古場に下りたのはなぜか

安美錦 みんな本場所がある。俺だけダラッとしているわけにはいかない。膝のケガを治すためにも、今までもやってきたこと。これからも頑張っていかないと。体を動かして、胸を出せるように。

-今までもケガを克服してきたが、今回は致命傷だったのか

安美錦 ケガの場所はそれほど違わないけど、場所が広がっていて、ずれている。痛いところが移ってきた。総合的にずっと付き合ってきたけど、また右膝をケガしてしまった。また最後、『お前にやられるのか』と。これからも付き合っていかないと。

-決断まで悩まなかったのか

安美錦 スッと決断したかな。ケガをして治療をして、もう1回、もう1回と思ってきたけど、初めて今後のことを考えた。出てケガをしたらどうするんだとか、今まで思ったこともないことを思った。気持ち的に、初めて出る選択肢以外のことを考えた。勝負師として一線を引く時なのかなと思った。

-最後の相手は竜虎になった

安美錦 よかったんじゃないかな、竜虎で。ああいう若い子で。投げたと思ったけど、投げきれない。向こうの方が上だった。いい相撲だったんじゃないですか。何の悔いもない。いい若手とできてよかった。自分も大横綱(貴乃花)から(バトンを)もらって、若い人にバトンタッチできて終われたのはうれしいですね。