劇団四季ミュージカル「キャッツ」が11月11日、東京・大井町のキャッツシアターで上演36周年を迎えた。1983年(昭58)11月11日に新宿西口の仮設テント劇場で幕を開け、これまでの通算の上演回数は1万回を超え、観客動員も1020万人を数えている。

この「キャッツ」の映画版が来年1月24日に公開される。「レ・ミゼラブル」をミュージカル映画化し、大成功したトム・フーパー監督がメガホンをとり、主演となる白い子猫ヴィクトリアに英国ロイヤル・バレエのプリンシパルダンサーのフランチェスカ・ヘイワード、ボンバルリーナにテイラー・スイトフ、長老猫オールドデュトロノミーに英国の名優ジュディ・デンチ、名曲「メモリー」を歌う娼婦猫グリザベラにミュージカル「ドリーム・ガールズ」で知られるジェニファー・ハドソンらが出演している。

そして、吹き替えでもオールドデュトロノミーに蜷川幸雄氏から「日本のジュディ・デンチになれ」と言われた大竹しのぶ、グリザベラには著名歌手のライブやレコーディングに参加している実力派の高橋あず美、ヴィクトリアに葵わかな、マンカストラップに山崎育三郎、バストファージョーンズにロバート秋山竜次が出演する。

すでに予告編が上映されており、見た人も多いだろう。先日の吹き替え版の会見で、予告編を見た大竹が「すばらしい。これを吹き替えでやる意味があるのかしら」と思わず口走ってしまったほど、本編への期待感が高まっている。ちなみに吹き替え版は許されているのは日本とドイツの2カ国のみ。それだけ日本ミュージカルのレベルの高さを信頼している証しだろう。

「キャッツ」の映画化は、当初はアニメ版が企画されたが、立ち消えとなり、16年になってようやく映画化の企画が本格的に進行した。出演者も二転三転しながら、今年4月に撮影も終わった。今は12月20日の米国公開を目指して編集作業中という。アンドリュー・ロイド・ウェバーが映画版だけのために作曲した新曲「ビューティル・ゴースト」は映画の中ではフランチェスカが歌い、テイラーが歌うバージョンは映画のエンドクレジットに流れるという。

劇団四季「キャッツ」は21年夏まで大井町でロングランされ、その後は東京以外の都市で上演される予定。映画を見た後に舞台を見るのもいいし、舞台を見てから映画も見るのもいいだろう。「レ・ミゼラブル」の時も映画を見た後に舞台を再び見て、何度も舞台を見ているはずなのに、新たな発見があり、新鮮な感動を覚えたものだった。映画館とキャッツシアターのはしごをお勧めしたい。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)