宝塚 ~ 朗らかに

無垢な気持ちで宝塚最後の舞台へ/真彩希帆

雪組トップ娘役の真彩希帆は、兵庫・宝塚大劇場で、退団公演「『fff-フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~」「シルクロード~盗賊と宝石~」に臨んでいる。2月8日まで。コロナ禍で日程が半年ずれ、真彩はその期間、自身と向き合ったことで、無垢(むく)な気持ちで宝塚最後の舞台に取り組めたという。東京宝塚劇場は2月26日~4月11日。真彩は同千秋楽で、トップ望海風斗と同時退団する。公演日程はすべて予定。

宝塚最後の作品へ、思いを語る真彩希帆
宝塚最後の作品へ、思いを語る真彩希帆

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2年連続、本拠地で迎える正月公演が、コロナ禍の延期で退団公演になった。

「時期が半年ずれ…。(正月公演に)とても縁を感じます。『あけましておめでとうございます』のアナウンスが好き。本来なら卒業していたのにもう1度、1月1日からお客様の前に立つことができた」

寂しさよりも、感謝の思いが強い。稽古中は「お客様に楽しんでもらいたい」一心のみだった。自粛期間も糧に進んできた。

「物事には何か意味があると思って生きています。ただ楽しい、ハッピー! みたいな時が毎日なわけじゃない。ショックなことがあり、怒られ、つらいことは誰にでもある」

昨年は、やるせない思いに駆られもした。

「でも、誰が悪いわけじゃない。やっぱり私は宝塚が大好き。あと半年いさせてもらうことは、何か意味があること。じゃあ、自分は何かできるのかと」

現実を受け止めた。

「皆さんから見れば、他のタカラジェンヌさんと比べると、素を出しているんじゃないか-と思う方も多いと思う。何かあっけらかんとしていて。でも自分の中で『真彩希帆』という存在がどうありたいかと、針山の上を歩くような状態で突き詰めてきた。この(トップ娘役就任後の)3年間、気が休まる時は正直なかったです。常にオンの状態というか…」

それが、自粛期間に「自分」を思い出した。

「お休みの時に『こういうこと好きだった』『こんなことも楽しんでいたんだ』と、自分の中にあったはずの感情や思い、忘れていたものに少しずつ気付いて。自分の心の声を聴くことで、(劇団に)入りたての頃の、舞台を楽しむことや宝塚に入れて幸せという思いをとても深いところから感じることができた」

「無視していた」自分自身の感情に向き合った。

「私、何が食べたいかも分からないというか。役(柄)によって、(日常の)食べる物も、着る物も変わる。私自身は、本当は何がしたいの? って、自分に聞くことができた。だから、とてもニュートラルな状態で、退団公演を迎えられました」

今作、芝居では望海演じるベートーベンに影響を与える「謎の女」役。「ベートーベンの何なのか。今まで演じたことのなく、ほんとに正解がない役」と言い、最後まで挑戦になる。望海とのトップコンビは、抜群の歌唱力、表現力でファンを魅了してきた。

「私は、自分の声が『今回はこの楽器っぽいな』とか『今回はこういう音色で声を』とか、考えるタイプ。今回も、細~い穴に糸を通すような気持ちで、ひとつひとつの曲に、緻密に向かい合いました」

「針山の上」と表現するほど、役者として、舞台に、役に、真正面からぶつかってきた。ショーは「シルクロード」がキーワード。生田大和氏がショー初演出を手がける。

「おいしすぎるショー(笑い)。メロディーがすてきで心が洗われ、私自身もあったかいものに包まれています。ひとつひとつの場面が最後なので、特別と感じながら、大事に、宝物をひとつひとつ、包みを開けるような感じで務めたい」

相手娘役に迎えられた望海と添い遂げて退く。【村上久美子】

○…雪組トップ望海と、相手娘役真彩のサヨナラ公演「『fff-フォルティッシッシモ-』~歓喜に歌え!~」「シルクロード~盗賊と宝石~」は、1日に兵庫・宝塚大劇場の正月公演として幕を開けた。

望海が芝居で演じるのはベートーベン。真彩とのコンビは当代きっての歌唱力を誇り、18年「ファントム」では圧巻のステージで魅了した。そんな望海の最後の役が天才音楽家。「ベートーベンの音楽にはやはり、ものすごい力があり、それを自分の中から発するには最大限のエネルギーをだしきらなければ」と言い、最後まで挑戦の扉を開く。

真彩は「謎の女」として登場し、ベートーベンの心を支え、そしてともに歩む。寄り添うだけではない、望海と真彩の実力派コンビらしい関係性で、退団作にも臨む。それぞれにソロ歌唱もあり、美声をふんだんに響かせている。

次期トップ彩風咲奈は、ベートーベンが心を寄せる人物として描かれるナポレオン役。今公演で退団する人気スター彩凪翔は、ゲーテを熱演している。

「シルクロード」をテーマにしたショーは、アラビアの世界観を描いたストーリー仕立てで、「青い宝石」をめぐる物語。一輪の“青い花”へと変容し、望海がその花を次期トップ彩風へ渡す場面も設けられ、雪組の次世代へのバトンも表現された。

今公演で望海、真彩とともに退団する彩凪は、ショーでも見せ場が多い。幕開きに登場し「私自身もこの今の雪組の勢いにのって、千秋楽の幕が下りる瞬間まで男役を追求したい」とコメントしている。

☆真彩希帆(まあや・きほ)7月7日、埼玉県生まれ。宝塚音楽学校の初受験時は男役志望で不合格。翌年、娘役として合格。12年宙組で初舞台。組回りで月組。13年花組。14年星組。17年1月に雪組。5年目で全組を経験。同7月に望海の相手娘役に。身長164センチ。愛称「まあや」「きぃちゃん」「きーやん」「なっちゃん」「まあやきぃ」。

純真な気持ちで退団公演を迎え、実力をいかんなく発揮している真彩希帆
純真な気持ちで退団公演を迎え、実力をいかんなく発揮している真彩希帆

夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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