作詞家の売野雅勇氏(66)と松井五郎氏(60)が25日に東京・代官山のTSUTAYAガーデンギャラリーでトークイベント「売野雅勇×松井五郎 作詞家二人が作詞を語る」を開く。中森明菜「少女A」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」などの売野氏と、安全地帯「悲しみにさよなら」、坂本冬美「また君に恋している」などの松井氏。80年代からJポップ界を彩ってきたヒットメーカー2人が、互いの創作の裏側を語り尽くす。売野氏に聞いてみた。

 イベントが実現したのは売野氏の指名がきっかけだった。「僕にとって、同業の作詞家で、ただ1人の友達。作曲家とは仕事で、いろいろ付き合って来たけど、作詞家って何考えてるのか、付き合いにくいイメージがあるでしょ」と笑う。03年に互いにアルバムに曲を提供したミュージシャンの食事会で意気投合した。「同じ81年に作詞家デビューしたこともあるけど、松井さんはもともと、ご自身でもアーティストとして活動していた方。ミュージシャンだから、話が合ったのかな」と振り返る。

 互いに35周年を迎え、松井氏が還暦となったことで、2人で一緒に何かをやろうと考えたのがきっかけ。「トークショーもだけど、作詞の本を作ろうと思ったの。映画でアルフレド・ヒチコック監督の作品について、フランソワ・トリュフォー監督がインタビューした『定本 映画術 ヒチコック・トリュフォー』っていう本があるけど、そんな感じ。2人で作詞のことをしゃべってみようとね」と売野氏。

 互いに忙しいことから、企画はゆっくりと進んだが、10月に売野氏のイベントの企画が持ち上がり、一気に松井氏とのトークショーが実現した。「作詞家が何を考えて、発想して具体的な言葉につなげていくかを話したい。いわゆるメーキングみたいな感じ。僕が松井さんが安全地帯に書いた『熱視線』の詞について聞けば、松井さんは『少女A』のタイトルについて掘り下げていくみたいになる」と話す。

 当日は互いに相手の曲からベスト10を挙げて分析し合う。「松井さんは、よく考える人だけど、僕は違うからね(笑い)。松井さんの曲で気になるのは『また君に恋してる』と矢沢永吉の『東京』かな」。互いに81年にデビューしたが、今までに作詞したのは売野氏1700曲に対し、松井氏は3000曲。「松井さんは疲れを知らない。書くことが根っから好き」。対照的な2人だが共通するのは、気ままなところ。「松井さんは計画を立てずにフラリと新幹線に乗って旅に出る。僕も旅の直前まで計画を立てない。束縛が嫌いなんだな」と話している。

 ▼スペシャルトーク「売野雅勇×松井五郎 作詞家二人が作詞を語る」 25日午後7時から東京・代官山のTSUTAYAガーデンギャラリーで。チケットは2000円。http://real.tsite.jp/daikanyama/event/2017/12/post-470.html から。

 当日は売野氏がプロデュースするロシアの女性ユニットMax LuXがミニライブを披露する。