2月4日に85年の歴史に幕を閉じる東京・有楽町の日劇で、27日から「日劇ラストショウ」と銘打った名画の特集上映が始まった。同日、「用心棒」(黒沢明監督、61年)が上映され、出演した女優司葉子(83)がトークショーを行った。

 デビューした時から黒沢作品に出るのがあこがれだったという司。「黒沢さんはとても優しかったんですが、本番になると厳しくて鬼みたいだった。テストから全力投球だったんですが、常連(俳優)さんに『本気でやったって、あと10回はテストやるから気を抜いて』とささやかれました」と笑わせた。

 黒沢作品への出演は「用心棒」の1作品だけだが、「隠し砦の三悪人」(58年)に出演する新人を募集する時、黒沢監督が「葉子ちゃんのような足首の女を選んでください」と言ったことを人づてに聞いたという。司は「うれしかったです」と振り返り、写真撮影の時には「足首も撮って」と、おちゃめにアピールしていた。

 日劇ラストショウでは「乱れ雲」(成瀬巳喜男監督、67年)も上映される。司は共演した加山雄三のエピソードを明かした。俳優には成瀬作品に出演する緊張があったとし「加山ちゃん、こんな神経ハゲがあって、メークさんが一生懸命塗ってんの。それくらい、俳優も神経を使って頑張るんです。こんなこと言ったらしかられるかな。加山ちゃん、ごめんね!」と、指でコイン大の円を作った。