昨年、世界で最も売れた歌手、英シンガー・ソングライター、エド・シーラン(27)が11日、昨秋に右手首と左肘骨折で延期した日本ツアーの振り替え公演初日を大阪城ホールで行った。このほど、国際レコード・ビデオ製作者連盟「IFPI」がCD売り上げやダウンロード数など実績を累計して決定する17年「年間最優秀アーティスト」に認定された。開演前のインタビューでは楽曲作りのヒントや飾らない素顔を明かした。
昨年発表したシングル「シェイプ・オブ・ユー」のユーチューブ再生回数は34億回以上。同曲を収録した3枚目のアルバム「÷(ディバイド)」は世界で1300万以上を売り上げる大ヒットとなった。昨年、世界で最も売れた歌手に認定されたが「大勢の人が僕の曲を聴いてくれてうれしいけど、理由は分からない」と、あくまでも謙虚だ。
ヒップホップやR&Bなど最先端の音楽要素を盛り込みながらも聴き心地の良いメロディーで、幅広い年齢層に支持されている。曲作りでインスパイアされることの1つに、自身の恋愛体験を挙げた。「みんなそうだと思うけど、僕自身も恋愛に重きを置きます。いろんな感情が芽生えるし、曲作りに影響は大いにあります」。人生のターニングポイントも迷わず「(婚約者の)チェリーに結婚を申し込んだこと」と挙げた。
公演の合間を縫って、プライベートも充実させている。前日10日は甲子園で阪神-広島を観戦した。「日本のスタジアムの熱い雰囲気が好き」。以前、東京・神宮球場でヤクルト-巨人も観戦した。「(ヤクルトファンが)みんな傘を持って応援していて、おもしろかった」と振り返った。
今、興味があることは食べることだという。「おいしいものを食べるのが、ツアーの醍醐味(だいごみ)」。来日後、すしやふぐ料理など高級な食事を堪能する一方、「甲子園で、英国や米国にはないKFC(ケンタッキーフライドチキン)のテリヤキバーガーを食べたけど、おいしかった」と、庶民的にファストフードも味わう。太ることを恐れたり、見た目は気にならないか聞くと「ビールが好き。ビールをやめたらやせると思うけど、昨日も甲子園でいっぱいビールを飲んじゃった」と、気にしない様子だった。
飛ぶ鳥を落とす勢いとは思えないほど、今後の目標は地道だ。「音楽を作り続けてみんなに届ける、今の状態をキープすることです」。アンコールでは、生まれ年「91」の背番号が入った阪神のユニホーム姿で登場。関係者によると「昨日、野球観戦したし、ぜひ地元チームのユニホームを着たい」と、スタッフに購入を依頼したという。歌と粋な演出で、集まった1万人の地元ファンを喜ばせた。【近藤由美子】
◆エド・シーラン(Ed Sheeran)1991年2月17日、英国生まれ。11年アルバム「+(プラス)」でデビュー。2枚目のアルバム「x(マルティプライ)」(14年)は全英、全米チャートで1位を獲得。公式ユーチューブ動画の総視聴回数は128億回以上。グラミー賞に5年連続で主要部門にノミネートされ、16年に最優秀楽曲賞を受賞。今年は2部門で受賞した。テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバーらに楽曲提供も行っている。