唐沢寿明(54)が、フジテレビ系で12日に放送の「世にも奇妙な物語’18春の特別編」(午後9時)に主演することが4日、分かった。俳優として30年以上のキャリアを誇る唐沢だが、1990年(平2)にスタートした「世にも奇妙な物語」シリーズへの出演は意外にも今回が初めて。

 唐沢は「-春の特別編」の1編「不倫警察」で、ごく普通の真面目なサラリーマン葛木良男を演じる。葛木は朝から妻・陽子(紺野まひる)にチューをしてから出勤する愛妻家で、平穏無事な毎日を過ごしているが、ある日、いつものようにオフィスで働く目の前で部下が突然、不倫取締法違反容疑で逮捕される。世の中の度重なる不倫スキャンダル続出に、世論の圧倒的な後押しを受けた日本政府が「不倫取締庁」を設置。不倫通報者には表彰状と報奨金が与えられる一方、ダブル不倫をした者には終身刑が言い渡され、不倫を描いた小説やドラマ、映画は発禁処分されるなど、徹底的な不倫撲滅キャンペーンが展開され、不倫は根絶されていた。

 そんなある日、葛木はオフィスで部下の京野鈴香(筧美和子)にうっかり接触した上、謝りのメッセージだけを送るつもりが間違えて携帯電話にラブラブなスタンプを送ってしまう。そこに春田剛史主任(升毅)率いる不倫取締官たちが駆けつけ、有無も言わせず良男と鈴香を連行していく物語だ。

 唐沢は「世にも奇妙な物語」シリーズ初出演の感想を聞かれ「なかなかこういうスタイルの作品をやることがないので、連続ドラマとも違って面白かったです。今回の作品は世間という漠然としたものを描いていて、いろいろ考えさせられる話になっています。(作品自体は)短いけど、面白い展開の作品だと思いました」と語った。

 「不倫警察」については「今の世の中の風潮からいって、ありそうでなさそうなストーリーですよね。実際にここまで行くかどうかは別としても、何事もやりすぎちゃいけないということじゃないかと。例えば、胸の谷間がたまたま見えたっていうだけで逮捕させられてしまうなど、ものすごくバカバカしいと思いながら、実は笑っていられない、という感じがすごくします」と、感じるものは多かったようだ。

 演じた葛木について聞かれると「この作品に関しては、主人公の役柄はどんなキャラクターでもむしろ良いのではないか、と。それなりに幸せな家族を持つ主人公が、その特異なルール(法律)、世間のルールによって、何も悪いことをしていないにもかかわらず理不尽なことになって、最終的に崩壊していく、という話なので」と分析した。

 その上で撮影を振り返り「佐藤(祐市)監督は撮影前からしっかりイメージが頭の中にあって、それを撮ろうとしているので、役者としては非常にお芝居がやりやすかったです」と振り返った。その上で「俳優とは監督の指示のもとで動くものであり、俳優自身が中心となって動くものではないと思うので、今作ではきっちり指示をいただけて、それを演じるということに集中できました」と俳優という職業に対する、持論を展開した。

 見どころについて聞かれると「徐々に変わっていく展開じゃないでしょうか? 素晴らしい家庭だったのが、知らない間に追い込まれていって、最後にはとんでもないことになります。これだけ短いオムニバスなのに話の展開が良くできているんです。本当に面白い作品だと思うので、ぜひたくさんの方に見てもらいたいですね。そして不倫に関係している方たちにはじっくり見ていただき、いま一度周りを見回して、しっかり考えていただけたらと思います」と、不倫に心当たりのある視聴者に向け、ジョークを交えつつ笑いながら“警告”した。