ディーン・フジオカ(37)が7日、都内で、主演する日仏インドネシア合作映画「海を駆ける」(深田晃司監督、26日公開)の完成披露舞台あいさつを行った。

 04年のスマトラ島沖地震から「海は時に豊かで美しく、時に脅威となり人を飲み込む」との着想を得た深田監督が贈る、心揺さぶるファンタジー。地震で多くの方が亡くなったことをきっかけに内戦が終わったとも言われる、インドネシアのバンダ・アチェでオールロケが行われた。ディーンはアチェの海岸で発見された、片言の日本語とインドネシア語を話す正体不明の男を演じた。

 登壇したディーンは「オールロケと聞いて、気が狂っているなと思いました」といきなり苦笑い。「僕の家族はジャカルタにいるけれど、アチェは同じ国なのに外国みたいなイメージで、『そんな危ないところに何しに行くんだ?』という感じ」とアチェの治安について述べ、「いい意味で狂った同志がいた。自分もインドネシアでいつか映画撮影をしてみたいと思っていた。祖国を経由してアチェという場所に行けたのは誇りに思うこと」と貴重な経験を振り返った。

 地震をきっかけに内戦が終わったという解釈を聞き、ディーンは「自分の中にそれまでになかった感覚が生まれました」という。「アチェにいる人はみんな(地震の)被害者で、傷ついていない人はいないけれど、(ロケで)アチェの人たちの明るさに触れて、未来に対する希望を感じたんです。この宇宙をどの角度から見るかで、希望も生まれれば絶望も生まれる。この作品はひとつのゲージというか目盛りというか、視点の多様性みたいなものだと思う」と持論を展開した。

 共演の鶴田真由(48)太賀(25)阿部純子(25)も舞台あいさつに出席した。鶴田は女性ファンで埋め尽くされた会場を見て、「私とのラストシーンのディーンさん、すごく美しいです。撮影しながら見とれました」。深田監督も「あのシーンのディーンさんを見るたびに、ディーンさんにお願いしてよかったと思います」と続けた。