テレビ朝日(東京都港区)でドラマを担当していたプロデューサーの50代男性が、2015年2月に心不全で死亡したのは長時間労働による過労死だったとして、三田労働基準監督署が同年に労災認定していたことが16日、関係者への取材で分かった。

 三田労基署は、男性が労働時間の制限を受けない「管理監督者」に当たるとする一方、月に約130時間に及んだ時間外労働(残業)と死亡の因果関係を認めた。テレビ局職員の過労を巡っては、13年にNHKの女性記者(当時31)が過労死したことが判明しており、メディア業界の過酷な労働環境が改めて浮き彫りとなった。

 関係者によると、男性は13年7月、出張中にホテルで狭心症を発症。病院に搬送され一命は取り留めたが、低酸素状態による脳障害が残ると診断された。三田労基署は、狭心症発症前の3カ月の残業が約70~130時間に達し、過労死ラインとされる月80時間を超えていたことを確認、14年10月に労災と認めた。

 男性は療養を続けていたが、15年2月に心不全で死亡。三田労基署は長時間労働との因果関係を認め過労死と認定した。

 テレビ朝日は裁量労働制を適用している制作部門で、残業が月に160時間を超える職員に対してのみ対策を行っていたが、三田労基署は基準を引き下げるように指導。管理職の推定労働時間も管理し、時間数に応じた対策を実施するよう求めた。

 男性は1980年代に全国朝日放送(現テレビ朝日)に入社。時代劇や刑事ものの連続ドラマなどを手掛けた。(共同)