和太鼓集団「ドラムTAO」とウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」がコラボレーションした「万華響ーMANGEKYOー」に、心を打たれた。

 和太鼓といえば、日本人にとっては、気持ちを盛り上げる、文字通り鼓舞するような伝統的打楽器だろう。その伝統的打楽器と最新技術のプロジェクションマッピングによる演出のコラボレーションに興味を引かれたが、実際に体験すると、それはまさに「万華鏡」だった。

 会場である東京・オルタナティブシアターの舞台周りも、万華鏡内部を見立てた作りになっていた。また、パフォーマンスに合わせて繰り広げられるプロジェクションマッピングは、日本の四季を描いていた。伝統と最新技術が織りなす様は、まさに〃神事〃だった。和の伝統を感じさせる公演だが、あえて西洋風に言うなら、まるで宗教画を見ているかのようだった。

 記者はドラム経験があるが、和太鼓の奏法は単純なものだと思い込んでいた。しかし、今回公演を見て、その認識が間違っていたことを痛感した。その奏法には、随所にテクニックが盛り込まれていた。和太鼓の奏法は、シングルストロークのみだと勝手に思い込んでいた。だが、ダブルストロークやダブルストロークを折り込んだパラディドルなども、しっかり組み込まれていたのだ。ダブルストロークとは、1回のストロークで2度打面を打つ奏法だが、よく表彰式で流れるドラムロールはダブルストロークを用いた演奏だ。パラディドルには主に4つのパターンがあるが、その中でもシングルパラディドル(「右左右右左右左左」の順でたたく奏法)を使っていたように見えた。いずれもドラム用の細いスティックであれば自分でもできるが、あの太いバチでとなると、果たしてできるかは疑問だった。パフォーマンスはもちろん、技術的にも、実際に見てみないと分からないことがあるということに、あらためて気付かされた公演となった。

 演奏の技術的な面はともかく、日本人として見ておくべき公演のようにさえ感じた。