【スペイン・マドリード27日(日本時間28日)=小林千穂】歌舞伎俳優中村勘九郎(36)中村七之助(35)らによる「平成中村座 スペイン公演」がカナル劇場で開幕した。チケット完売の期待の中、大声援と喝采を受け、観客に受け入れられた。父中村勘三郎さん(享年57)が好きだった地での公演成功に、2人は今後への思いも新たにした。日本とスペインの国交樹立150周年の節目に行われた記念公演は7月1日まで。

 野球解説者の江川卓氏(63)も訪れた。同い年の勘三郎さんと親交が深く、臨終にも立ち会った。勘九郎、七之助のことは小さいころから見てきただけに、大きな拍手を受ける姿に目を潤ませた。

 「身内みたいなものなので、ホッとしました。成長して大きく花開いたと感じました。2人が偉大なおやじに近づいてきているなと思います。勘三郎には『成功して終わったよ』と報告したい」と話した。江川氏にとって、海外公演に来ることは勘三郎さんとの約束だった。「(08年の)ドイツ、ルーマニアで公演をした時、勘三郎さんに『来いよ』と言われたんです。必ずヨーロッパに行くよ、と言ったんですけど行けなかった。約束を果たせました」と話した。