田原俊彦(57)が今年、歌手デビュー40年を迎える。10代から20代前半はアイドルとして、20代後半から30代にかけては、大人の男として2度、芸能界の頂点に立った。ジャニーズ事務所独立後は人気が低迷するも、今も実力派のポップシンガーとして歌にダンスに活動を続ける。2月、58歳の誕生日を迎えても「トシちゃん」の愛称が似合う元トップアイドルが、山あり谷ありの40年を語る。

★「ごめんよ涙」コンビと

東京・世田谷のテレビスタジオ。番組の収録を終え、メークを落として衣装を脱いだ田原俊彦は、40年の芸能生活を静かに語り始める。

「ジャニーズ事務所で15年、卒業して25年。苦しいときが長いけど、継続してきたから今がある。エンターテイナーとして、歌って踊って『キャーッ』のアイドル時代からは想像できない領域に来ています。ステージでは、デビュー曲の『哀愁でいと』も『抱きしめてTONIGHT』も新曲も歌う。今、そういうポジションにいる自分がうれしい。支えてくれたファンへの恩返しのため、今年は、いい汗かきたいね。気合入ってますよ」

40年を飾る新曲は、平成元年のヒット曲、「ごめんよ涙」の松井五郎、都志見隆コンビが担当する。

「僕の平成の幕開けを飾ってくれた2人が、平成最後の年に『一緒にやろう』と言ってくれた。その気持ちが熱いよね。ミディアムテンポのすばらしい曲。去年のクリスマスに初めて聴いて、グッときた。手応えを感じています」

4月、東京・渋谷のNHKホールでのコンサートも予定されている。同ホールで収録された歌番組「レッツゴーヤング」(74年4月~86年4月まで放送)にレギュラー出演。人気を不動のものにした原点とも言うべき場所だ。

「今の僕には、5000人の集客力はない。もちろん東京ドームや武道館のアーティストでもない。原点と言うと格好いいけど、本当は、たまたま。3600人というキャパシティーと日程が合っただけなんです。チケットは残りわずか。早めにおさえてください、ハハハ」

【取材・秋山惣一郎】

◆田原俊彦(たはら・としひこ)

1961年(昭36)2月28日、神奈川県横須賀市生まれ、高校卒業まで甲府市で育つ。79年、ドラマ「3年B組金八先生」に近藤真彦、野村義男とともに出演、「たのきんトリオ」の愛称で人気を得る。80年「哀愁でいと」で歌手デビュー。松田聖子と争い、レコード大賞最優秀新人賞を獲得した。88年のドラマ「教師びんびん物語」に主演。主題歌「抱きしめてTONIGHT」がヒット、名実ともにトップスターに。94年、ジャニーズ事務所から独立。2011年から、バラエティー番組「爆報!THEフライデー」にレギュラー出演。4月21日、NHKホールでの「40TH ANNIVERSARY EVE【ハート】平成LAST LIVE!」を皮切りに、7月から全国18カ所をツアー。6月27日に新曲「好きになってしまいそうだよ」をリリースする。