8月に82歳で死去した俳優千葉真一さんの弟子で俳優の若山騎一郎(56)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じ、今月8日に営まれた四十九日法要の様子や法名を明かし、亡き“おやじ”への思いも話した。

騎一郎は千葉さんをおやじと呼ぶ。千葉さんは、騎一郎の父で昭和のスター俳優、若山富三郎さんを「師匠」と慕っていた。騎一郎は、16歳で千葉さんが主宰したジャパン・アクション・クラブ(JAC)入りし、40年来の師弟関係。富三郎さんが92年に亡くなった後には千葉さんから直々に「おやじって呼んでいいぞ」と言われたという。

千葉県君津市で営まれた四十九日法要では、長女で女優の真瀬樹里(46)が喪主を務め、親族、JAC代表ら30人ほどが参列した。騎一郎は「こういう言い方は正しくないかもしれませんが、とにかくすばらしかった」と振り返った。

コロナ禍前、多い時は週3回ほど会い、現在の妻との結婚では保証人になってもらった。そんな千葉さんの急逝に憔悴(しょうすい)しきっていたが「やっと受け入れることができました」。法要では千葉さんの幼い頃の話や元妻・野際陽子さんとのエピソードなどを、故人の好物だった卵焼きや煮物、おにぎりなどを食べながら語り合ったという。

騎一郎は千葉さんの法名を「映照院釋真心居士」(えいしょういんしゃくしんじんこじ)とそらんじた。「浄土真宗だから『戒名』ではなく『法名』なのですが、一発で覚えました。映画や映像で活躍していろいろな人を照らして、真心をもっているというような意味が込められているそうです。釋はお釈迦(しゃか)様の弟子になるということみたいです。お坊さんの説法もほんとうにすてきでした」。

冬はスキー、夏は海へ。合間にお酒を飲もうとすると「稽古中だぞ」といさめられた。どこまでもストイックだった。全国各地でトークショーをともに行った。君津の自宅に泊まることはしょっちゅうだった。「口をきかない時期もありましたし、細かいことはいろいろあるけど“おやじ”と過ごした日々には満足です。何一つ後悔はありません」と言い切った。そして「あんな人(千葉さん)はもう今後、出てこないと思います。アクションを確立させた第一人者ですから。何年たってもその価値は色あせない」としみじみ語った。一番近くで見てきた偉大な“おやじ”への感謝は尽きない。【佐藤成】

◆若山騎一郎(わかやま・きいちろう)1964年(昭39)11月30日、東京都生まれ。若山富三郎さんの長男。87年俳優デビュー。92年「不器用に生きた男わが父若山富三郎」を出版。99年から座長公演を重ね、10年舞台「銀幕愚連隊~若山富三郎物語~」主演。テレビ東京系「北アルプス山岳救助隊」シリーズなど数々のドラマに出演。17年に一般女性と再婚。

○…日本を代表するアクションスターだった千葉さんは新型コロナウイルスに感染して入院、肺炎の症状が悪化するなどして8月19日、君津市の病院で死去した。関係者によると亡くなる直前まで、新作映画の製作に強い意欲を持っていたという。千葉さんの長男は俳優新田真剣佑(24)、次男は俳優眞栄田郷敦(21)。