NARグランプリの表彰式が16日、3年ぶりに開催された。大井の矢野貴之騎手(38)は最優秀賞金収得騎手賞を初受賞。自己最多の重賞11勝を挙げた昨年は年間284勝もキャリアハイ。11億2138万8000円を獲得した。

「一般家庭に生まれて、競馬との関係がまったくなく、ジョッキーを目指すところから始まり、高崎競馬でデビューさせてもらい、1着賞金15万円の苦しい時代もありましたが、運よく大井競馬に移籍できて、賞金が高い恵まれた環境でやらせてもらっていることでこういう賞をいただけて、非常にありがたく思っています」。記者会見の冒頭で話した初受賞の感想には、ここまでの道のりのすべてが集約されていた。「昔の自分には想像できないような環境にいるんだなと、改めて思っています。感謝しかないです」。

2年前は殊勲騎手賞に選ばれたが、コロナ禍で表彰式が中止。今回の初出席にあたり、ちょうネクタイを買いに行ったものの「まだちょっと恥ずかしい」と普通のネクタイを選んだという。目指すは最優秀勝利回数騎手賞との2冠。その時はちょうネクタイ姿が見られそうだ。【牛山基康】