リバティアイランドの末脚は素晴らしい脚でした。ですが、それ以上に私は川田騎手の騎乗に“すごみ”を感じました。彼がリーディング騎手である1つの証明が、この信じられない追い込み劇にありました。
スタートでダッシュがつかず、最後方グループからになりました。鞍上のプランとは違ったはずです。ただ、辛抱するしかないとすぐに腹をくくり、直線まで動きませんでした。前半3ハロンは34秒0。ソダシが桜花賞レコード(1分31秒1)を出した21年が34秒1ですから、速めに流れています。隊列が縦長になり、前と離れ、気持ちの上では焦りもあったかもしれませんが、川田騎手には大きな経験がありました。
14年の桜花賞で、単勝1・2倍のハープスターに乗り、最後方から追い込んで勝っています。当時はそのハープを管理していた松田博厩舎の馬によく騎乗して、数多く後ろからの競馬を経験していました。単に後方から追い込むことがすごいのではありません。我慢する、慌てない、馬を信じる、尊重する。言葉では難しいですが、当時の経験は今の川田騎手の確かな力になっていると思います。最後方から差し切った先日のドバイワールドC(ウシュバテソーロ)でもそう感じましたし、今回も、あの末脚は紛れもなく鞍上が引き出したものでした。
もちろん、リバティも末恐ろしい能力の持ち主です。同世代の牝馬同士ならオークスの2400メートルも問題ないと思いますし、1つ年上のイクイノックス、ドウデュースといった“最強”と言われる世代と走る日が楽しみです。
2着コナコーストは、3着ペリファーニアにいったん前に出られましたが、鮫島駿騎手がワンテンポ我慢して、差し返しました。内と前が残る馬場傾向も考慮した2番手という絶好の位置取りから、最高の騎乗でした。ただ、勝ち馬にあの脚でこられたら…。相手をほめるしかありません。(JRA元調教師)






