サッカー日本代表の新監督に、東京オリンピック(五輪)代表の森保一監督(49)が兼任で就任することが26日、正式決定した。日本協会が同日の臨時技術委員会と理事会で承認。就任会見も都内で行われた。日本人初の「全権監督」になる新指揮官は、宿命の進退問題にも「ビビらず」世代交代を進めていく覚悟を明言。日本が16強入りしたワールドカップ(W杯)ロシア大会の優勝国フランスを例に、実直な人柄と同様、現実路線で日本を強化する方針を示した。
新しい日本の顔に決まった森保氏は、やや緊張した面持ちで「覚悟と感謝。2つの気持ちで職責を全うしたい」と第一声を発した。「困難」と自覚する兼任には「東京五輪だけでも重責なのにA代表も…。自分1人では無理。迷ったけど、力を合わせて不可能を可能にしたい」と決意を語り、会見で質問される前の冒頭あいさつには14分52秒もの時間をかけた。「五輪まで2年間、次のW杯まで4年間。最高のチームを作り上げたい」と、長尺の所信表明に抱負をあふれさせた。
幼稚園児から小中高大、そしてプロまで指導してきた。広島で日本人最多のJ1優勝3回、今回のW杯ではコーチ。あらゆるカテゴリーを教えた中、田嶋会長が「待ったなし」という世代交代へ。W杯で過去最高の平均年齢28・3歳からの若返りを図るため、五輪(U-21)代表を率いる森保監督に白羽の矢が立った。
喫緊の課題に取り組むべく、田嶋会長は「任期は4年」と説明したが、会見後に「4年を見据えた契約で実際は…」と補足。森保氏は会見前に、基本の2年契約(推定年俸1億5000万円)に「即決」でサインした。一方で22年を目指す期待に甘える考えはなく「すべて勝ちたいけど痛い思いも失敗もする。(世代交代の先に)道が続くか断たれるか分からないけど、ビビらず、年代間の融合を図りたい」と進退を懸け、強化していく覚悟を示した。
組閣に関しては、五輪代表を率いる8月のジャカルタ・アジア大会とA代表の初陣になる9月の国際Aマッチ2試合で選考など活動が重なるため「最初は五輪スタッフで」と表明。その後は「焦らず最高、最強のスタッフに」と別チームを編成する構えで、関係者によると、来年1月の初公式戦アジア杯UAE大会までにコーチを順次そろえていく。専門職のGKに関しては「オールジャパン」の旗にこだわらず、Aか五輪か未定だが、外国人登用も柔軟に検討するという。
志向するサッカーは、W杯で優勝したフランスの現実路線を好む。生真面目な性格、守備から手堅く入る戦術と同様、美しく攻撃的でなくても結果が出ればいい。「勝利に必要なことに徹したフランスのように対応力ある戦いをしたい」。東京五輪世代の19歳エムバペを加え、史上2番目に若い平均25・6歳で頂点に立った国に、世代交代と強化の両立のヒントを求めた。
Jリーガー出身のA代表監督は初めてで、西野前監督が生かした日本らしさを「継承し、進化させたい」と約束した。五輪でメダルを獲得した68年に生まれ、93年「ドーハの悲劇」に泣いた元代表MF。その地を首都とするカタールでのW杯へ、森保兼任監督が船1隻で出航した。【木下淳】

