FC東京FW大久保嘉人(34)が、今季初の1試合2ゴールを奪った。前半21分、後半12分とともにセットプレーのこぼれ球を決め、アウェーでベガルタ仙台に2-0で今季初の3連勝に導いた。13年から3年連続のJ1得点王が、チームを4位に浮上させると同時に、今季通算4ゴールとし、得点ランキングでも5位タイとなった。

 1点目は一瞬の隙を逃さなかった。前半21分、左CKからのこぼれ球を、ゴール正面右寄りで待っていた大久保嘉が右足でネットに突き刺した。「DFが立っていたので、どうかなと思ったけど最後に伸びた」と鋭い弾道の先制点を振り返った。2点目はわずかな可能性にかけた。後半12分、ゴールまで約30メートルと離れたFKを相手GKがファンブル。最後まで追いかけた大久保嘉が、こぼれ落ちたボールを押し込んだ。

 今季加入した東京で初の1試合複数ゴール。それでも、開幕2カ月余りで意思疎通を欠く場面は多い。大久保嘉の中にある「相手を走らせ、とどめを刺す」というイメージの共有には時間が必要。だからこそ、この日は足がつるまで走って自力で得点した。「だんだん良くはなっている」。苦しい中で奪った2ゴールに、大久保嘉は近い将来のエンジン全開を予感していた。【高田文太】

 ▼マルチゴール 東京FW大久保嘉が移籍後初の1試合2ゴール。歴代最多のJ1通算得点を175に伸ばした。また、1試合2得点以上のマルチゴールもJ1通算36度目で、歴代最多を更新。複数得点回数の2位は沼津FW中山(通算157点)で33度、3位が東京FW前田(同152点)と名古屋FW佐藤(同161点)で28度。