ガンバ大阪の元日本代表FW宇佐美貴史(30)が、精神的支柱としてチームをJ1残留へ導く。

最終節・鹿島アントラーズ戦(5日、アウェー)に向け、4日の最終調整後に取材対応(リモート)。

チームは2連勝で残留圏15位浮上も、自動降格圏の17位清水と勝ち点3差、プレーオフにまわる16位京都とは同1差。鹿島に勝てば自力で残留となる一方で、引き分け以下なら他会場の結果次第で奈落の底に突き落とされる可能性もある。

「引き分けとか、そんなことは考えていないですし、(今季は)鹿島には負け続けている。悔しい思いをさせられている分、全力でぶつけないといけない。勝つことしか考えていない」

今季、鹿島には4戦全敗。ホームのJ1開幕戦で1-3で敗れると、ルヴァン杯1次リーグで2連敗、天皇杯でも敗れた。

「今はチームの状況も上昇していっている中で、全員が自信を持ってできている。いい風が吹いている。現状、どこまで鹿島にぶつけられるか楽しみですし、チームとして何ができるかワクワクしている。今までの4試合と『こいつら全く違うぞ!』と意地でも思わせないといけない。そういった部分(精神面)で上回れれば、技術的、戦術的にも上回ることができる」

G大阪の下部組織で育ち、10代の頃から脚光を浴びた宇佐美も5月に30歳になった。かつては元日本代表MF遠藤保仁(現磐田)らが中心だったチームは今、宇佐美のチームになっている。練習が公開された1日には全体調整を終えると、若手選手らとともに居残りでシュート練習を繰り返す姿があった。その後、みんながグラウンドを去ってからも1人残り、黙々と走り込んだ。愛するG大阪をJ1に残留させるため、背中で引っ張ろうとしている。

「何かアクション起こす時は、すべて意図を持ってと思っています。若い選手が自信を持てるような声かけであったり。練習中に緩いミスが起きた時に、口げんかを(あえて)自分が起こしたこともありました。そうすることで感じてくれる選手もいてくれるだろうな、と。しっかり、切り替えて集中してやっていこうという時は(言葉で)言うようにしていますし。コミュニケーションとったり、意図を持ったことしかやらないようにしています。(右アキレスけん断裂から)復帰してからは(その時々に)何で言ったかというのは全部説明できる」

泣いても笑っても残り1試合。宇佐美の復帰後、チームは2勝1分けと不敗で3試合とも無失点に抑えている。運命の最終節は黒子に徹するつもりだという。

「点はもちろん取りたいし、アシストもしたい。(ただ)現状考えた時に、ゴール前で待ってとなると、ボールタッチも少なくなるでしょうし、チャンスも少なくなる。(攻撃の)種類が限られてくる。復帰する前の練習試合で試してきた中で、(自分が)前に張ると何も生まれなかった。もちろん、ゴールをとるのは最大の目標。ただゴールを作り出す、チャンスを作り出す。作り出したものに自分は乗っかっていく。そうした方がチームがうまくいく」

他力は考えない。

あくまでも自力で残留をつかみ取る覚悟だ。

「(J2に)落ちたらどうしようという恐怖心、プレッシャーは不思議なくらい考えていないですし、感じていない。もう目の前の試合に勝つことだけです」

最終節に、持てる力の全てをぶつける。

【5日のJ1最終節・対戦カード】

☆鹿島-G大阪

☆札幌-清水

☆浦和-福岡

☆柏-湘南

☆東京-川崎F

☆磐田-京都

☆C大阪-名古屋

☆神戸-横浜

☆鳥栖-広島

(※上がホーム、全て午後2時開始)