サッカー日本代表MF三笘薫(28=ブライトン)らを輩出した筑波大蹴球部の小井土正亮監督(48)が4月24日に新刊「『教える』を手放す 人とチームの自律を引き出すコーチング」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を発売した。
三笘らトップ選手の輩出だけでなく、指導者や分析官や審判など幅広くサッカー界に人材を出している同部。昨季は45年ぶりに関東大学1部リーグと全日本大学サッカー選手権(インカレ)の2冠を達成するなど、大学サッカー界、そして日本サッカー界をけん引する存在感を示している。
同部出身の小井土監督は、プロ、Jクラブでの指導経験を経て、14年に同大監督に就任。初年度には史上初めて2部降格の憂き目に遭いながら、再建し、黄金期を築き上げた。同書では組織のマネジメント論や「自律」を引き出すためのコーチングなどについて自身の実践をもとに記している。これまで戦術などについての著書はあるが、指導論をとりまとめたのは初となる。
中でも興味深いのは世界最高峰のイングランドプレミアリーグで活躍するまでに成長した三笘の大学時代についての記述だ。大学1年時に三笘が書いた成長シートが公開されており、「22歳で日本代表初招集」「3大会連続W杯出場」といったビジョンが示されている。
三笘はワールドカップ(W杯)北中米大会こそ直前の負傷で選外となったが、その実力は世界的に高く評価されている。小井土監督は「僕が育てたわけではない」と笑い「彼に攻撃に関しては何も教えていません」とも明かす。「守備の約束事はいいましたけど、攻撃なんて解決の仕方はいくらでもあるので。解決してくれるならなんでもいい。でもやりきれ、点取れと。それだけですね」と懐かしんだ。
同部は大学院生らがヘッドコーチとして練習を組み立て、試合の指揮を執り、小井土監督は一歩引いた形の組織を運営している。若手の指導者に役割を与え、選手とともに成長を促す。昨季の2冠はまさに「筑波スタイル」が結果にも表れた瞬間だった。
同書では筑波大蹴球部の成功を通して、一般社会にも通用する組織運営の方法論が示されている。小井土監督は「サッカー指導者の方はもちろん、組織のリーダー層の方に手に取ってほしいと思っています」と願う。「なんとなく空気が重い、メンバーが指示待ちで自分で動いてくれない…などチームの悩みに対して、何か気づきになればいいなと考えています」と呼びかけた。【佐藤成】



