陸上界に、新型コロナウイルスの感染拡大により6月末まで中断されていた大会が戻ってきた。

鹿児島の県選手権が3日、同市内で行われ、男子200メートルに、19年世界選手権男子400メートルリレー銅メダリストの白石黄良々(24=セレスポ)が参戦した。中断明け後、日本代表級の選手が、実戦に臨むのは初となる。

雨もあって、予選は22秒19(追い風1・9メートル)、決勝は21秒45(向かい風0・5メートル)だった。同県出身の白石はオンラインで取材に応じ、「久々の試合で気持ちが高ぶりました。ローカルの試合でしたが、緊張しました。楽しかったです」。試合には練習では感じられない特別な空気感がある。タイムは不発だったが、久々の感覚に、自然と笑みがこぼれた。人と競り合う楽しさも再確認した。本当ならシーズン真っただ中だが、コロナ禍で2月の日本室内選手権以来の実戦だった。

自粛期間中は人が少ないコンクリートの河川敷で練習していた。まだ練習拠点の大東文化大は使えず、今も競技場を転々とし、練習をしているという。体は例年のようなシーズン中の状態ではない。決勝では走っている途中に、脚がけいれんしたという。未知のウイルスで、過去にないカレンダーの戦いの中に潜む危うさ、難しさも味わった。「もう、こんな事がないように」と苦笑い。幸い大事には至らず、4日の100メートルにも出場予定だ。

今後も100メートルと200メートルを両立し、その相乗効果で、さらなる飛躍を目指していく。今季は日本選手権の制覇に加え、100メートルは10秒05、200メートルは20秒24を出すことが目標。「試合に積極的に出て、感覚を取り戻していきたい」。昨季の急成長を、まずます加速させていく。