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選手寿命延びたとはいえ…限界超えて走る53歳カズ

ゴール前にパスを出すG大阪MF遠藤保仁(2020年7月4日撮影)
ゴール前にパスを出すG大阪MF遠藤保仁(2020年7月4日撮影)

4日に再開されたJリーグでガンバ大阪のMF遠藤保仁(40)が、J1通算632試合出場を果たして歴代単独1位に立った。久しぶりにサッカー界の明るい話題になったが、J1では今季、もう1つ期待のかかる大記録がある。横浜FCの53歳のFWカズの最年長出場記録だ。4日の北海道コンサドーレ札幌戦はベンチ外だったが、今季出場すればFW中山雅史の45歳2カ月を8歳以上更新。ゴールを決めるとMFジーコの41歳3カ月の最年長記録を12歳以上も塗り替える。

近年、スポーツ医科学の進歩や競技環境の充実などの影響で、アスリートの選手寿命は延びた。それでも50歳を過ぎてトップリーグでプレーしている選手は世界的にも異例だ。

例えば欧州チャンピオンズリーグ(CL)の最年長出場記録はラツィオGKバロッタが07年に記録した43歳253日。ちなみにセリエAもこのバロッタの持つ44歳38日が最年長出場記録。欧州CLの最年長ゴールはローマMFトッティが14年に記録した38歳59日。

参考までに欧州主要リーグの最年長ゴール記録を調べてみた。セリエAはACミランDFコスタクルタの41歳25日。プレミアはウェストハムFWシュリンガムの40歳226日。スペインがデポルティボDFドナトの40歳20日。ブンデスがブレーメンFWピサロの40歳136日。すべて40~41歳での記録。カズがゴールを決めれば世界的なニュースになる。

他のプロスポーツはどうだろうか。

15年10月、最年長出場記録を達成した中日山本昌
15年10月、最年長出場記録を達成した中日山本昌

プロ野球では15年10月に中日の山本昌投手が、最年長出場記録を先発で達成している。広島戦に50歳1カ月26日で登板。打者1人だけで降板して現役生活を終えた。現役選手では今年4月に43歳になった阪神の福留孝介が最年長になる。

米大リーグではサチェル・ペイジ投手が65年に59歳で出場した記録は残っているが、1試合だけの限定契約だった。近年ではロッキーズのジェイミー・モイヤー投手が12年4月のパドレス戦で49歳151日の最年長勝利記録を樹立。最年長本塁打記録は48歳254日で、かつて千葉ロッテでもプレーしたメッツのフリオ・フランコが07年5月のダイヤモンドバックス戦でマークした。

プロボクシングでは野中悠樹(井岡)が昨年2月に、41歳2カ月でWBOアジア・パシフィック・ミドル級王座を獲得。日本ボクシングコミッション(JBC)認定王座で男子最年長記録となった。世界ではミドル級王座を統一したバーナード・ホプキンス(米国)が、14年4月にWBA世界ライトヘビー級スーパー王座を獲得した49歳3カ月が最年長記録。

大相撲では序二段の華吹(立浪)が今年5月に50歳になった。最高位は三段目で1場所7番とはいえ、昭和以降の最高齢力士だ。現在の幕内最高齢は元大関の琴奨菊で36歳5カ月。

シュートを打つ北海道折茂武彦(中央)(2020年1月25日撮影)
シュートを打つ北海道折茂武彦(中央)(2020年1月25日撮影)

バスケットボールのBリーグではレバンガ北海道の折茂武彦が、今年3月に49歳306日の最年長出場を果たし、現役引退を発表した。これはナット・ヒッキーが持つNBAの最年長記録45歳363日を上回る。

プロゴルフの男子日本ツアーの最年長出場記録は17年4月の中日クラウンズに出場した青木功の74歳7カ月。ツアー優勝の最年長記録は02年の全日空オープンを制した尾崎将司の55歳7カ月となっている。

五輪の最年長出場記録は、1920年アントワープ大会の射撃に出場したオスカー・スバーン(スウェーデン)の72歳。団体で銀メダルを獲得した彼は今も最年長メダリスト。彼は1912年ストックホルム大会で64歳で金メダルを獲得しており、最年長金メダリストとしても名前を刻んでいる。

71歳でロンドン五輪に出場した法華津寛(撮影・PNP=2012年8月2日)
71歳でロンドン五輪に出場した法華津寛(撮影・PNP=2012年8月2日)

日本人では2012年ロンドン大会に馬術で出場した法華津寛の71歳が最年長。1984年ロサンゼルス大会の射撃で金メダルを獲得した蒲池猛夫の48歳4カ月がメダリストの最高齢。射撃や馬術は体力よりも技術や経験が必要とされるだけに、50歳を過ぎても第一戦で活躍している選手は多い。

当然、スポーツは国によって競技環境やレベルに差がある。時代にも影響されるし、異なる競技性のスポーツを同列に並べて比較することもナンセンスだ。それでも、あえて比べてみると、加齢による衰えはどんなトップ選手にも、ほぼ同じような時期に確実にやってくることが分かる。野球やサッカーのプロ選手の限界は40代半ば。それも万国共通のようだ。

出場機会が少なくなったとはいえ、カズは体力的にとっくに峠を越えた今も第一戦でプレーを続けている。そのメンタルの強さ、衰えることのないサッカーへの情熱は、まさに世界でも比類なきアスリートと断言できそうだ。【首藤正徳】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「スポーツ百景」)

横浜FCのカズ(三浦知良)(2020年2月14日撮影)
横浜FCのカズ(三浦知良)(2020年2月14日撮影)

88年入社。バトル、五輪、テニス、サッカーなどを担当。五輪は92年アルベールビル冬季大会、96年アトランタ大会を現地取材。08年北京大会、12年ロンドン大会は統括デスク。サッカーは現場キャップとして98年W杯フランス大会、02年同日韓大会を取材。現在は東京五輪・パラリンピック準備委員。

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