国際スケート連盟(ISU)は8日、2020-21年シーズンから適用すると一時発表していた4回転ジャンプの基礎点変更について、正式に撤回すると発表した。19年5月に最終更新された19-20年シーズンの基礎点が維持される。

今回の新規定導入に関しては、ISUが5月11日に最初の発表をした。現在、成功例があるジャンプの中で最高難度の4回転ルッツの基礎点を11・50点から11・00点に下げ、同ループは10・50から11・00点に上げていた。もともと11・00点の同フリップは維持され、計3本の4回転ジャンプが同じ基礎点11・00点で並ぶことを決めていた。

しかし、この決定を「保留する」と6月18日に追加発表。新型コロナウイルス感染拡大の影響で選手の練習再開が遅れていることに配慮した、などと説明していたが、ロシア連盟のアレクサンドル・ゴルシコフ会長が「五輪まで2年を切った段階でルール改定するのは適切ではない」と述べるなど、現場やISU内外から反発する声が上がっていた。

その中でこの日、ISUが公式サイトを更新。改定が「完全にキャンセル」されたことを明記した。4回転のルッツは11・50点、フリップは11・00点、ループは10・50点のまま変わらないことになった。3回転ルッツが0・60点減の5・30点となり、3回転フリップと並ぶことになっていた変更も破棄された。

今季の導入を断念し、オリンピック(五輪)シーズンである来季(21-22年シーズン)いきなり改定することは非現実的。22年の北京五輪は現行ルールで行われることになりそうだ。

4回転ループは、冬季五輪2連覇の羽生結弦(25=ANA)が16年9月に世界初成功。4回転フリップも16年4月、平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(22=トヨタ自動車)が世界で初めて跳んでいた。