フィギュアスケート女子で22年北京オリンピック(五輪)メダルを目指す紀平梨花(19=トヨタ自動車)に試練が訪れた。

19日、日本スケート連盟は右足首の故障によりグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダ(29~31日、バンクーバー)欠場を発表。7月の右足関節骨軟骨損傷が完治していないといい「今後の試合に向けて治療、リハビリに専念いたします」とコメントした。

出遅れを覚悟し、最善の策を選んだ。スケートカナダは3月の世界選手権で2位に入ったトゥクタミシェワ、20年欧州女王コストルナヤ、シニア1年目ながら北京五輪金メダル候補とされる15歳ワリエワとロシアの実力者が集結。紀平は欠場で、シリーズ2戦上位6人が進むGPファイナル(12月、大阪)も絶望的となった。五輪に向けて貴重な世界トップレベルとの競演の機会が減ることになる。

9月に拠点をカナダ・トロントに移し、五輪男子2連覇の羽生結弦(ANA)らを担当するブライアン・オーサー・コーチに師事。関係者によると同コーチは「今は梨花に無理をさせず、完全に回復するのを待ちたい」との意向で、症状の悪化を防ぐ狙いがある。

五輪代表3枠入りを懸けた大一番は、あくまでも12月の全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)となる。新型コロナウイルスの影響でシーズン初戦が同選手権までずれ込んだ昨季も、紀平は自身初の4回転サルコーを決めて2連覇を飾った。まずは羽を休め、大きく羽ばたく時を待つ。

◆グランプリ(GP)シリーズ 欧州、北米、アジアを巡る6戦。1人の選手は最大2試合に出場できる。各大会の順位をポイントに換算して、2戦合計得点の上位6人がGPファイナルに進出する。18年平昌五輪シーズンのGPファイナル女子はザギトワ(ロシア)が優勝。日本勢は宮原知子、樋口新葉が出場した。同五輪における日本の出場枠は「2」で、全日本選手権の結果を受けて、代表は宮原と坂本花織になった。

◆フィギュアスケート北京五輪代表選考 シングルは男女ともに最大3枠を確保しており(1)全日本選手権(12月)優勝者が1人目(2)全日本2、3位、GPファイナル出場者上位2人、全日本終了時点の国際スケート連盟(ISU)シーズンベストスコア上位3人、の中から2人目(3)最後に(2)で漏れた中からISU世界ランキングなどを総合的に判断して3人目を決める。全日本出場は必須も、過去に世界選手権3位以内など実績を持つ選手が、けがなどでやむなく参加できなかった場合の救済措置もある。