女子日本代表が準々決勝で世界ランク1位の米国にストレート負けし、ロンドン五輪の銅に続くメダル獲得はならなかった。エース木村沙織主将(29=東レ)は集大成として臨んだ4度目の五輪で、有終の美を飾ることはできなかった。

 木村の妹で、同じ東レ所属の美里(24)が間近で接してきた姉について語った。今年の正月には2人で京都・八坂神社へ初詣に向かった仲良し姉妹。美里は大きな期待を背負う姉の、良き相談役であり続けた。

 昨秋には何度も後ろ向きな言葉を聞いた。「私は代表にいらないんだと思う」「もういいや、全日本」。リオ五輪出場権をかけた日本開催のW杯。出場権獲得を持ち越し、主役も当時19歳の古賀に譲った。沙織は主将ながらベンチの時間が急増。代表から戻り、投げやりな姉を美里は「うんうん」と静かに受け止めた。

 「しんどそうでした。でも、沙織ちゃんはすごく強い人。ちょっと弱音を吐きたかっただけで、私は心配していませんでした」

 東京・下北沢成徳、東レと5歳年上の沙織が歩んだ道を追った。公式戦での初共演は昨季。身長161センチでリベロの美里は相手に狙われた。動揺する中、声が聞こえた。「みっちゃんはそっちに集中して。沙織が(コート)半分いくから!」。ここぞの場面で、そっと背中を押してくれる。それが一緒に戦って分かった姉の強さだ。

 沙織との身長差は24センチ。母朋子さんからは「本当は170センチずつのところを『沙織ちゃんがすごいスターになるために背がないと』って、神様が分けたんだよ」と言われたことがある。美里は「嫉妬?

 全くないです。私は沙織ちゃんの全部が好きです」と笑う。自慢の姉は4度の五輪を堂々と駆け抜けた。【松本航】