
【ガン見】輝星とのシュート談義から半月 課題球に絞って登板を徹底チェックしてみた
田村藤夫氏(63)の「プレミアムリポート」では、2月中旬に公開した日本ハムの期待の右腕・吉田輝星投手(22=金足農)へのインタビュー取材を元に、2月17日の練習試合キューバ代表戦、同25日のオープン戦楽天戦(いずれも名護)でのピッチングを解説します。インタビューの中で吉田投手は内角への投球を開幕までのテーマとしていましたが、どこまでの意識と精度で臨んでいるか。先発2ケタ勝利を目指していることを踏まえ、率直に振り返りたいと思います。
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◆吉田輝星(よしだ・こうせい)2001年(平13)1月12日、秋田県潟上市生まれ。小3から天王ヴィクトリーズで野球を始める。金足農では1年夏からベンチ入り。3年夏は、秋田大会から甲子園準決勝まで10試合連続完投勝ち。決勝では大阪桐蔭に敗れたが、金農旋風を巻き起こした。大会通算62奪三振は歴代6位。U18アジア選手権日本代表。18年ドラフト1位で日本ハムに入団。4年目の昨季は、主に中継ぎとして51試合に登板し2勝3敗5ホールド、防御率4・26。今季推定年俸2000万円。175センチ、84キロ。右投げ右打ち。
◆田村藤夫(たむら・ふじお)1959年(昭34)10月24日、千葉・習志野出身。関東第一から77年のドラフト6位で日本ハム入団。93年に初のベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。93年オフ、巨人長嶋監督からFA移籍でのラブコールを受けたが、日本ハムに残留。96年オフには、ダイエー(現ソフトバンク)王監督から直接電話を受け、移籍を決断した。07年からは、中日の落合監督に請われ入閣。捕手としてONと落合氏から高く評価されたが、本人は「自分から人に話すことではない」とのスタンスをかたくなに守る。42年間のプロ野球生活を経て解説者に。通算1552試合出場、1123安打、110本塁打。@tamu2272
▼田村藤夫のプレミアムリポート▼
キューバ戦から中7日 中軸への4球
キューバ戦でのピッチングを自宅でテレビ観戦しながら注目していたが、内角へのボールが少ない印象を受けた。打者の内角を攻めようという意識は感じられる。それは左打者の内角、右打者から見ると外角へのボールは何回も試しており、その制球もボールの強さも、現段階では打者攻略への布石にはなっていた。
キャンプで取材した吉田は、右打者の内角球をテーマにしていた。「シュートを投げた方がいいですか」という質問があったが、それは、右投手の吉田にとって、右打者の内角が大きな課題になっていることを意味していた。
私はこの質問を受けた時に、吉田が避けては通れない部分に向き合い、今季こそは自分のものにしようという強い意志を感じた。それだけに、キューバ代表との試合でも、そこに焦点を絞って見ていたが、まだ攻め切れていなかった。

練習試合キューバ戦に先発し3回無失点。バランスの取れたフォームは健在で、開幕ローテ入りに歩を進めた。しかし田村氏は、右打者の内角を突くボールがなかったとして不満を口にした=2023年2月17日、沖縄・名護
さて、どうするのかなと思って25日の楽天戦で同じようにその1点に焦点を当てて見た。
結果から言えば、右打者に4球投げている。それも3番DHの新外国人フランコ、4番浅村、5番中日から移籍した阿部という主軸に使っている。
4球のうち3球がボール、1球が打って捕邪飛との内訳だった。
これは前回のキューバ戦ではなかったボールだった。
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1959年(昭34)10月24日、千葉・習志野出身。
関東第一から77年のドラフト6位で日本ハム入団。93年に初のベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。
93年オフ、巨人長嶋監督からFA移籍でのラブコールを受け(日本ハムに残留)、96年オフには、当時の王監督(現会長)から直接電話でダイエー(現ソフトバンク)移籍を決断。07年から中日落合監督に請われて入閣した。
ONと落合氏から高く評価された捕手だが、田村氏はそうした経緯について「自分から人に話すことではない」というスタンスをかたくなに守る。42年間のプロ野球生活を経て解説者に。プロ通算1552試合出場、1123安打、110本塁打。
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