【箱根駅伝story〈10〉東京農業大】スーパー1年前田和摩、最下位からの成長譚

第100回箱根駅伝(来年1月2、3日)の本大会出場を懸け、10月14日に予選会が開催されます。東京農業大(東農大)は10年ぶりの本戦返り咲きを狙います。

6月の全日本大学駅伝関東地区予選会で5位に入り、一足早く14年ぶりの伊勢路出場を決定。3大駅伝で2つ目の出場権獲得を目指します。

その要となるのが1年生の前田和摩。全日本予選会ではU20(20歳以下)歴代2位となる28分03秒51をマークし、強烈なインパクトを残しました。

本格的に陸上を始めたのは兵庫・報徳学園の頃。幼少から中学時代を振り返りながら、走ることに懸ける思いを描きます。

陸上

〈箱根駅伝予選会 直前特集〉

関東インカレ男子2部5000メートルで力走する前田(ゼッケン14)

関東インカレ男子2部5000メートルで力走する前田(ゼッケン14)

前田和摩(まえだ・かずま)

2005年(平17)1月16日、兵庫県生まれ。兵庫・報徳学園高で本格的に陸上競技を開始。22年全国高校総体(インターハイ)男子5000メートルで日本人トップの4位。23年1月の全国都道府県対抗駅伝は5区2位。同5月の関東インカレ男子2部5000メートルは4位。自己ベストは5000メートルが13分56秒65(高校3年時)、1万メートルが28分03秒51。国際食料情報学部食料環境経済学科在籍。

6月全日本駅伝予選で1万U20歴代2位

「自分が得意な展開になってくれたな」

前田和摩は心の中で、そうつぶやいた。

2023年6月19日。神奈川・相模原ギオンスタジアム。

全日本大学駅伝の切符を懸けた関東地区予選会の最終組は、留学生選手がレースを引っ張っていた。トラックをぐるぐると周るにつれて、日本人選手が1人、2人と離されていく。

先頭集団が絞られていった中でも、前田はその一団に食らいついていた。

「自分の得意なことを生かせる展開になっていたので。後ろは気にせず、とにかくやれるだけやろうと思っていました」

3人の留学生選手と東農大カラーの緑色のユニホームをまとった前田。残り1周の鐘が鳴った時、前田は猛煙と先頭へ躍り出た。

会場からどよめきが起こる。3人の留学生の目の色が明らかに変わった。

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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。