【山本幸史・オレに任せろ】

 絶好調の渡辺に本命を託す。小埜正義を最終ホームでたたいた1予、7番手からまくった2予はいずれも「楽々と走った」ように見えた。2予で連係した佐藤慎太郎も「後ろに気を使ってくれた」と証言するように、まだ1段階上のギアを隠しての連勝。平原や稲垣ら強敵を打ち破るだけの力は温存できている。

 今の渡辺が強い理由は2つある。1つは今月2日までの自転車競技でのオーストラリア遠征だ。1日1本を走る競輪と違い、自転車競技では1日に何本もレースを行う。「そうやって1日に何本も走ることが、自分にとってはいいトレーニングになっている」。競馬の格言にも「10の調教より1の実戦」という言葉がある。練習で負荷をかけるよりも実戦、つまり集中力を高め、緊張感のある中で全力を出す方が、はるかに効果があるという意味だ。同じナショナルチームの新田や脇本、中川が今回強いのも同様の理由だろう。

 もう1つは新たな愛車だ。防府の共同通信社杯から新フレームにして12戦9勝。「今まではあまりセッティングを重視してこなかった。以前の車は無理しながら乗っていたけど、今のフレームに乗せ替えただけなのに感じが全然違う」。世界と渡り合う脚力に、体とマッチした自転車が加われば、強くなるのは当然だ。

 「出し惜しみせず、負けても納得のレースができれば」。相手は確かに強敵。だが、今の渡辺には撃破するだけの力も、機運もある。稲垣の逃げに平原が先まくり。その上を、カズナリがフルパワーのまくりを放つ。3連単は(4)から(3)(9)(2)(5)(1)(7)へ流す30点。