【松井律・競輪黙示録スペシャル】

21世紀初のグランドスラマーへ。新田が高速バンクで偉業に挑む。

達成となれば、99年の神山雄一郎以来。期待は膨らむばかりだ。しかし、周囲の喧噪(けんそう)など、どこ吹く風。「グランドスラムへの評価は周りがするもの。僕は意識していないが、結果としてお客さまが喜んでくれればいい」。当の本人は、記録についてクールに捉えている。

新型コロナウイルスの影響で全プロ競技大会が中止となった今年、12R日本競輪選手会理事長杯のメンバーは全員がS級S班。昨年の立川GPの再現という意味でも興味深い一戦となった。

近年は「競輪」対「ケイリン」という図式が生まれ、新田はカタカナの「ケイリン」の代表格。しかし、そんな単純なカテゴリーに納まる器の男ではない。脇本の番手を奪い取り、佐藤の優勝に貢献した昨年GPの走りは「ケイリンファン」も「競輪ファン」をも魅了した。

「かつてはGP優勝が夢だった。挑戦できる立場になったが、また新しい壁が立ちはだかっている感じ。いつまでもゴールがない」と、GPで勝つ難しさを「新田節」で表現した。

あくまでも記録はついてくるもの。「今年の最後にいい1年だったと言えるように頑張る」。まずはこの大会を勝って、GP出場を決めることが最重要課題なのだ。第1歩となる初戦は脇本より前前の位置で戦い、準決勝行きのフリーパス=2日目ローズカップ進出を確保する。(9)-(5)(3)(1)(7)-全。(5)-(9)-全が押さえ。