日刊スポーツ新聞社制定「第36回競輪年間三賞」の受賞者が決定した。MVP相当の殊勲賞には脇本雄太(33=福井)が2年ぶり2度目の栄誉に輝いた。昨年のKEIRINグランプリ(GP)など3冠に加え、公営競技史上初の年間賞金3億円突破の大活躍だった。

なお、今年も新型コロナウイルス感染拡大防止のため、表彰式典は行わない。

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2年ぶり、2度目の殊勲賞受賞に脇本は「表彰していただいて、大変光栄に思います」と喜んだ。

競輪選手の誰もが1度は憧れるGP。競輪界最高峰のG1、日本選手権。そして、ファンの投票で選ばれるオールスターを、ドリームレースから完全制覇。1選手が一生に1度、できるかどうかの偉業を全て成し遂げた。また、S級での連勝記録21連勝に、年間取得賞金3億円突破は、公営競技史上初の快挙。競輪界はもとより、プロスポーツ界でも、歴史にその名を刻み、22年はまさしく脇本イヤーだった。

「去年(22年)と変わらない気持ちで走りたい」。すでに、最強レーサーとしての1年は始まり、23年初戦の和歌山G3は初日から豪快に攻め、決勝は打鐘先行で完全Vを決めた。打倒脇本に燃える他地区の走りを、GPのように圧倒的な力でねじ伏せるのが脇本のスタイル。最強のGP覇者として君臨してくれるに違いない。

2月全日本選抜、11月競輪祭を制すればグランドスラム達成と、今年も実現可能な大記録はある。「グランドスラムは特に意識しない。1戦1戦走るだけ」。全ての記録は、脇本にとって通過点。今年はどんな偉業を打ち立てるか。

◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ。福井市出身。科学技術高卒。競輪学校(現養成所)94期として08年7月12日福井でデビュー(予選1着、準決1着、決勝2着)。GP&G18冠のうち19年松戸日本選手権、20年高松宮記念杯、22年オールスターで完全V。21年東京五輪ケイリン7位。通算842戦343勝。通算獲得賞金10億5057万2700円。180センチ、72キロ。血液型A。

◆殊勲賞・選考 脇本雄太は満場一致で選出された。GPを含む3冠、公営競技選手として初の年間3億円突破で、文句なしの決定となった。

◆選考委員 ▽東京 沢畠功二、山本幸史、栗田文人、野島成浩、中野公博、松井律、中野浩一(評論家)▽西日本 吉富康雄、町田達彦、草川太郎、鎌田優、津波謙次、井筒靖明、村上正洋、榎並義朗、山田敏明、中嶋聡史、神田成史、川尻将志、東和弘、杉森洋一、秋山正則、来嶋泰之、音無剛、山口幸二(評論家)

◆競輪年間三賞 日刊スポーツ新聞社が87年に創設した。1年間(1~12月)の競走を対象として、活躍した選手の中から殊勲、敢闘、技能賞、ガールズ最優秀選手賞を選定し、表彰する。日刊スポーツ新聞社の東京、西日本両本社の競輪担当記者と評論家らで構成される三賞選考委員会が、受賞者を選定。表彰状と賞金が贈られる。