マンチェスター・ユナイテッドの売却報道が加熱しています。ピッチ上でもなかなか結果が出ず、今シーズンも12試合ですでに5敗(11月11日終了時点)を記録。とにかく上手くいっていない伝統チームではありますが、一方でライバルとなるマンチェスター・シティーは安定度が増しているように見えます。つい先日、監査法人デロイトが毎シーズン発表しているサッカークラブの長者番付リストを更新しました。昨シーズンの収益においては、イングランド・プレミアリーグのマンチェスターCが2季連続で1位に。その額は7億3100万ユーロにもなり、日本円で約1020億円にもなります。広告収入額が昨シーズンに比べて6500万ユーロ増加し、3億7300万ユーロを記録。プレミアリーグ史上最高額となりました。これまで1位の座に輝いていたのはレアル・マドリードですが、昨シーズンに関しては7億1400万ユーロで2位という結果に。3位はリバプールで7億200万ユーロ。前回7位からの大幅ジャンプアップとなりました。マンチェスターUは4位、パリ・サンジェルマンが5位と続く結果となりました。

リバプールが順位を大幅にジャンプアップさせた一方で、大幅に順位を落としているクラブもありました。レアル・マドリードの対抗馬でもあるバルセロナとドイツの常勝軍団バイエルン・ミュンヘンです。バルセロナは2018-19、2019-20年と2年連続で収益がトップだった時期もありました。しかしながら今回発表された2021-22では7位という結果に。

トップ20の内訳を覗いてみると、プレミアリーグが11、ラ・リーガが3、セリエAが3、ブンデスリーガが2、リーグアンが1という結果に。プレミアリーグはトップ30においても約半数の16となっており、いかにプレミアリーグのクラブが他国リーグに所属するクラブと比べて高収入であるかが把握できます。プレミアリーグにおける巨額な放映権収入は明らかに他国リーグと比べて選手補強、そしてマーケティングに影響を及ぼしていましたが、改めて、明確な差が如実になっているように見えます。アブダビという国家資本をバックにこの10年近くの短い時間で急速に成長を遂げた新興勢力が、長い歴史と伝統を誇るクラブを上回ることになりました。ピッチ上の成果だけでなく、マーケティング面を含め新しい顧客を獲得し続けているということでもあると考えられます。古き良きに浸っている時間が長ければ長いほど、クラブはより低迷していくことになると感じます。

そのような結果が出た中、レアル・マドリードは総会を行いました。その中で改めてフロレンティーノ・ペレス会長は“試合数だけが増加し、とにかく選手やクラブのことを考えていない”と欧州サッカー連盟(UEFA)やリーガに苦言を呈し、健全なクラブ運営と共に、コンテンツの重要性を訴えました。この総会のメッセージの中で気になる発言が一つ。ペレス会長は“このままではアメリカンスポーツにその場を奪われかねない”と発言。つまり、競合をアメリカンスポーツとしていることがみて取れます。MLSを中心としたアメリカンスポーツの各競技を競合とみていると思えば、この先の市場・業界の展望がどういったものになるのか、全く想像はつきません。メッシの移籍もあり今注目を浴びつつあるMLS。ペレス会長の目には一体どのように映って見えているのか、今後の発言などにも注目です。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)