<国際親善試合:日本3-3ハイチ>◇10日◇日産ス

 この試合の日本の攻撃を例えるなら、9割が各駅停車の安全運転。ハイチがボールを持たせてくれたから、日本は敵陣で余裕を持って短いパス交換をするだけ。杉本の得点は直前に酒井高の比較的長めのワンタッチパスが乾に通ったから、相手のチェックが追いつかなかった。車屋、酒井高、香川でつないだ得点も速攻からの効果的な攻撃だった。だが、それ以外はほぼ単調な攻撃に終始した。

 距離でいえば20~25メートル以上のパス、準急や特急電車ぐらいのスピードも用いないと相手の守備に死角は生まれない。日本のMFの選手がフリーで持てたからといって、1度は前線のFWに預けてから前を向いたMFがシュートするとか工夫がほしかった。サイドチェンジもほしかった。狭い視野で攻撃を続け、守備にも伝染したのだろう。サイドでやられていても、中央の守備は人ごとのような対応だった。選手はW杯メンバー入りへアピールの気持ちが過剰だったのだろうか。誰かが気づき軌道修正できなかったのが残念だ。(日刊スポーツ評論家)