「初戦は難しい」。根拠のないこの言葉は誰が言ったの? 前から言い続けてきたが、それは苦戦した時の言い訳でしかない。この日の日本に、初戦の難しさはなかったね。中国が弱すぎたのもあるが、途中から投入された選手も含め、2列目の選手たちが、そろって点を取ってくれた。堂安だけかな、点が取れなかったのは。でも堂安は前半、最も良い動きをしたし、攻撃をリードしてくれた。
気になったのが、三笘だね。日本は、相手を研究した際に、ウイークポイントが左サイドと分析したのだろう。そのため、主に右を久保と堂安で相手守備網を崩してチャンスメークした。その分、左MF三笘のドリブル突破が少なかった。せっかく前半にマーカーが警告を受けたのに、もったいなかった。
W杯カタール大会で優勝したアルゼンチンは、FWメッシの存在が大きかった。困った時はメッシにボールを出すと、何とかしてくれた。「戦術メッシ」という言葉が流行ったくらいだ。今の三笘のレベルなら「戦術三笘」という言葉が生まれてもおかしくない。チーム戦術的に右サイド中心に攻めたとしても、もっと左からボールを要求するべきだったし、そこでどんどん相手を苦しめ、チャンスを広げるべきだった。
2列目の選手が得点を記録したが、最も点が取れる可能性が高い中央のFWは2人とも得点できなかった。先発の上田と途中から出場した小川は不発に終わった。つまりペナルティーエリア内で、前を向いてプレーできる2列目の選手は点が取れたが、ゴールに背を向いてからのスタートとなる最前線の選手は消化不良気味で終わった。
そこは「戦術三笘」で解消できる。左で相手を抜いて深い位置から中央へボールを送ると、前線のFWは前を向いてプレーできる。もっと得点のバリエーションが増えるし、FWが点を取ると、チームの雰囲気もさらに盛り上がる。
次は中4日でバーレーン戦。中国より間違いなく守備が堅いし、速攻も鋭い。堅守速攻を武器に日本に迫ってくるはず。第1戦でアウェーのオーストラリアに1-0で勝ったし、勢いもある。一方、日本はアウェーだし、苦戦することもある。行き詰まる場面が多くなるだろう。そこで「戦術三笘」は突破口になるんじゃないかな。
(日刊スポーツ評論家)




