全治8カ月の大けがから復活したJ2アビスパ福岡の地元福岡市出身、FW石津大介(30)にエールを送りたい。

奇跡的なカムバックを果たし、2月23日に北九州とのリーグ開幕戦に先発した。生々しい手術跡が残る右脚の状態は何の問題もなく、気合十分のハードワークで勝利に導いた。

左サイドの攻撃の起点となり、何度も攻め込んでチャンスをつくり出した。守備でもリハビリ中に鍛えたフィジカルの強さを存分に発揮。170センチと小柄ながら、球際の攻防で大柄な選手にも当たり負けしなかった。今季は「アシストだったり点数にこだわる」という目標がある。目指す2桁得点に挑戦してもらいたい。

昨年7月6日の岐阜戦で負傷し、右膝前十字靱帯(じんたい)と外側側副靱帯(じんたい)、外側半月板それぞれの損傷で全治8カ月と診断された。大けがは、福岡大時代の全治3カ月のけが以来。「これまでで一番大きなけが」という悪夢だった。

だが「開幕戦に出ることを目標にリハビリした。(ファンに)バージョンアップした自分を見てもらいたい」と、強い気持ちで発奮。懸命のリハビリが実り、出場は厳しいとみられてきた開幕戦に間に合わせた。

その間、トレーナーとマンツーマンでのタフな練習メニューをこなしながら、早期復帰へ歯をくいしばってきた。試合のライブ映像を一緒に見ていた石津の子どもから「何でパパが出ていないのと言われ、一番悲しかった」と悔しさも糧にした。

長いブランクを経てボールを蹴った時の気持ちは今も覚えている。「ボールも飛ばず、自分の感覚じゃなかった。ドリブルやパスの感覚のところはショックが大きかった。恐怖心がないつもりでも、体が怖がっていた」。試練は大きかったが、開幕直前には「ほぼ怖さはなく、万全の状態近くに来ている」とコンディションは上向きだった。

福岡大大濠の後輩という縁もあり、今季の奮闘を期待している。【菊川光一】

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグや高校野球、ゴルフなどを担当、プロ野球ソフトバンクなどのカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。

(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「現場発」)