FC東京の若き「中村コンビ」に注目したい。DF中村帆高(23)、中村拓海(19)。ともにサイドバックで、右を主戦場とするライバル同士でもある。開幕に向け、沖縄キャンプから切磋琢磨(せっさたくま)が続いている。

中村帆は東京オリンピック(五輪)世代で、昨年12月には国内組の代表候補合宿に招集された。昨季、明大から加入1年目で徐々に出場時間を増やし、アジア・チャンピオンズリーグにも出場。数多くの経験を積んだ。

横浜F・マリノスの下部組織から日大藤沢高(神奈川)へ。高校でサッカーをやめることも考えたが、監督らの説得もあって受けた明大のセレクションに受かった。大学時代も就職活動をし、ユニバーシアード日本代表の米国遠征先からエントリーシートを送ったこともあった。自分を厳しく評価しすぎる男に対して周囲がサッカーの潜在能力を見逃さず、東京五輪を狙える存在になった。的確に間合いを詰め、粘り強く体を張る守備が最大の持ち味だ。

一方で世代別日本代表に選ばれている中村拓のプレースタイルは対照的で、攻撃参加が魅力。流れるようにサイドを駆け上がり、高速クロスを送る。こちらも昨季J1デビューした。「緊張はあまりしなかった」という強心臓ぶりが頼もしく映る。

東京は昨夏で日本代表DF室屋成がドイツ・ハノーバーへ移籍。不動の右サイドバックが不在になった。昨季、チームを通じてサイド攻撃からのアシストは室屋が移籍前に残した1のみ。のびしろ豊富でタイプが異なる2人の中村がポジション争いをしながらレベルアップすることが、東京のタイトル獲得には不可欠になる。【岡崎悠利】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)