いよいよ、オリンピック(五輪)が始まる。ただ、何故だろうか。いまいち盛り上がりに欠ける気がする。理由の1つに、無観客の問題があると思う。東京五輪男子サッカー日本代表の主将でもあるDF吉田麻也(32)は、力強い言葉で思いをぶつけた。

吉田 なかなか今、アスリートがこう発することは難しい状況ですけど、試合の最後の5分、10分というのは、サポーター、ファンの声援が本当に力になる。選手たちも命かけて、人生かけて、この五輪の場に立っている。マイナー競技の選手は、この五輪にかけている。何とかもう1度、真剣に考えて欲しい。

17日に行われた強化試合、同じ東京五輪に出場するスペイン代表戦後のコメント。「これは怒られますね」と言いながらも、アスリートを代表した素直な思いがそこにはあった気がした。

無観客の問題は、決して簡単なものではない。本番では、背中を後押ししてくれるサポーターの姿はスタンドにはいない。ピッチに響き渡るのは、選手、ベンチからの声。何だか寂しい。特別な大会だからこそ、選手のプラスアルファを引き出す観客の存在はあってほしいと個人的にも思う。

もちろん感染リスクのことを考えれば、無観客が望ましいのかもしれない。ただ、Jリーグでは観客の姿があり、先日の欧州選手権でも、多くのサポーターの姿がスタンドにはあった。コロナ禍の五輪。異例の大会とも言われる。特別な舞台だからこそ、いつもの「日常」が、そこにはあってほしいものだ。【栗田尚樹】