<高校サッカー:滝川二5-3久御山>◇決勝◇10日◇東京・国立

 久御山(京都)にとっては5回目の挑戦となった第89回全国高校サッカー選手権。結果は3-5と、あと一歩のところで及びませんでした。しかし最後まで「キミは君らしく」のスローガンの元に自分たちらしさを貫いた久御山イレブン。最後は滝川ニイレブンと共に、笑顔で互いの健闘をたたえあいました。

 久御山のMF足立拓眞、DF山本大地と滝川二(兵庫)のM谷口智紀は中学時代、京都の紫光SCに所属。足立と谷口はボランチでコンビを組んでいました。中学卒業後は別々の道へ進んだ3人が、高校3年生最後の選手権、しかも決勝の舞台で対決することに。「谷口には絶対に負けたくなかった」という足立。試合終了後自ら谷口の元へと歩み寄り「優勝おめでとう」と声をかけました。その言葉に谷口は「ありがとう。泣くな。胸を張れ!」と涙を流す元チームメイトの優しさにこたえました。

 目標だった全国制覇にはあと一歩届きませんでしたが、「こんな大舞台でサッカーができたことがうれしかった。結果的には負けてしまって、後悔しているところもあるし、やりきったと思うところもある。ただ、滝川第二は優勝するのにふさわしいチームだったと思う。だから最後は素直な気持ちで祝福できました」と、すっきりとした笑顔で国立を去っていきました。

 卒業後は大学に進学しサッカーを続ける予定。「成し遂げられなかった全国制覇の夢を大学でかなえたい」という足立は、このあと受験が待っています。さらに山本、谷口と共に大会の優秀選手に選出。選考合宿を経て、高校選抜として再び同じチームでプレーすることになります。「また一緒にできるのでうれしいです。卒業後はまた別々のチームでプレーすることになると思うけど、次の対戦では谷口には絶対に負けません!」。「この2週間は忘れられない時間になりました」というこの大会で得た、自分のサッカーは全国でも通用するという大きな自信を糧に足立はさらなる挑戦を続けます。(サッカーai編集部

 阿部菜美子)