日本がイタリアとの1次リーグ最終戦を2-2で引き分け、07年大会以来の決勝トーナメント進出を決めた。MF堂安律(18=G大阪)が2得点を奪い、16強へ導いた。0-2の劣勢から、前半22分と後半5分に左足でゴール。エースFW小川を負傷で欠く窮地を救った。これで日本はD組3位で1次リーグ突破が確定。8強をかけて30日にB組1位のベネズエラと戦う。

 これが堂安律だ。天安の夜空に歓声が響いた。1-2の後半5分、G大阪下部組織から一緒にプレーしてきたMF市丸のパスを受け取ると前を向いた。ただゴールだけを見て強引にドリブル突破。狭いスペースを縫いDFを1人、2人、3人かわす。最後はGKもかわし同点弾を流し込んだ。24日のウルグアイ戦で左膝靱帯(じんたい)断裂の大けがを負い、スタンド観戦するFW小川の背番号「9」のユニホームを高々と掲げて喜んだ。

 「市丸からちょっと前めのパスが来て『前を向け』というメッセージやと思った。自分の特長が出た。前半から相手は遅いと思っていたのでいけるやろ、と」

 2点を追いかける前半22分にはMF遠藤の左クロスを前線まで走り、懸命に伸ばした左足で押し込んだ。「ガンバで求められたプレーだった。ワンタッチで簡単に決めて相手の怖いところに入っていけば得点が量産できる。今までの自分になかったプレー」。得意の形と新しい形でのゴール。1試合に2得点は97年MF大野敏隆と03年FW坂田大輔の過去2人だけで、存在の大きさを自ら証明した。

 負けん気の強さがあったから、劣勢を覆せた。3歳で始めたサッカーで、練習に行かなかったことが1度だけある。小学校高学年の時。所属していた西宮SSで早野陽コーチ(33)から「全員ボールを持ったらゴールを目指せ」と指示があった。するとチームの中心だった堂安にパスが集まらなくなった。「コーチが言ってんのは、俺にパスすんなって言ってるようなもん」。自分の得点で何よりチームを勝たせたかった。大好きなサッカーの練習を休むことで、負けたくない気持ちをコーチに伝えた。