ドイツ移籍後は猫背を矯正して打点も高くなった。腹筋と背筋のバランスを、周囲の意見も取り入れながら筋力トレーニングで改良。背筋が伸びることで視野も広がった。今季のケルンでも屈強なDF相手に頭でも1得点。ポストプレーや両足からのシュートだけでない、新たな得点源。世界の強豪に挑む日本にとって、オールラウンドFWの存在感は際立っている。

 先発した14年ブラジルW杯ではコートジボワールに1-2。ギリシャには0-0。無得点の責任をロシアで借りを返したい気持ちは人一倍強い。この日も、後半20分にゴール前での好機を外し「悔しい。結果が大事なんで」と唇をかんだ。

 出場試合ではアジア勢には10戦して1度も負けていない。「次はホームでできる。次こそが大一番」。自らに言い聞かせた。“猫”から背筋の伸びた闘犬へ。大迫の“ワン”ゴールが、W杯出場王手を導く勝ち点“ワン”をもたらした。【鎌田直秀】