勝てばW杯出場が決まるオーストラリア戦で招集メンバー最年少のMF井手口陽介(21=ガンバ大阪)が、攻守に大暴れした。1-0の後半37分、国際Aマッチ初得点となる強烈なミドルシュートを突き刺した。W杯出場決定試合では史上最年少ゴール。FKとCKのキッカーも任され、持ち前の運動量で守備でも奮闘。先制点のFW浅野拓磨(22=シュツットガルト)とともにリオ五輪組が、ロシアへの扉をこじ開けた。

 ゴールだけを見ていた。無心で右足を振り抜いた。1点リードの後半37分、井手口は左サイドでDFを1人かわし、中央までドリブルで進んだ。思い切って打ったシュートは相手2人の間を割って、ゴール右上に突き刺さった。出場3試合目で代表初ゴール。「頭は真っ白になった」。ロシア行きを決定づけ、仲間にもみくちゃにされた。

 「枠に入ればいいかな、と思って打ったので、逆に力が抜けていたのが良かったんかな。自分が決めてやるという気持ちで臨めた」

 最終予選で21歳8日でのゴールは中田英に次ぎ史上2番目の若さで、後々語られるW杯出場決定試合では最年少となった。G大阪の長谷川監督から課題とされ、強化してきた攻撃力を大一番で発揮。ボール奪取に象徴される守備力、前線から最終ラインまで顔を出す運動量の多さは見せたが「90分通してできる選手になりたい」と満足はしない。代表でも先輩の宇佐美から「怪物」と評された男らしい答えだった。