【リール(フランス)9日】日本代表の左FW原口元気(26=ヘルタ)が、待望の世界クラスとの対戦で完全燃焼する。今日10日のブラジル戦で3試合ぶりにスタメン起用されることが確実になった。アジア以外の国との試合で先発するのは代表28戦目で初めて。「苦しむ」の言葉を7回も使い、限界に挑む決意を口にした。

 非公開練習を終えた原口が切り出した。先発確実なブラジル戦へ「90分間、苦しむ試合になると思う」。マッチアップが予想されるのはマンチェスターCのダニーロ。強力サイドバックとの対戦に「楽しみではないですよ…」と笑いながら「食らいつき、ワンチャンスをものにするしか勝ち目がない。勝つことが唯一の楽しみになれば」と劣勢を受け入れる覚悟だ。

 本音は、楽しみで仕方ない。昨年は日本初のW杯アジア最終予選4戦連発を達成するなどブレークした一方、頭から離れない思いがあった。「僕は1回も強い国と戦ったことがない」。11年10月ベトナム戦の代表デビューから27試合に出たが、内訳はアジア25、欧州1、北中米カリブ海1。アジア以外は7-2で圧勝した16年の“2軍”ブルガリアと先月のハイチだった。

 ようやく実現した超格上との試合がブラジル戦。「攻撃も守備もパーフェクトに近くないと勝てない相手。W杯まで7カ月。強豪国と戦って個人もチームも伸ばしていきたい」。クラブでは10月14日シャルケ戦での一発退場を境に出番を失ったが「ここに対するモチベーションがあったから、いい練習を積めた。やっと自分を表現できるので存分に苦しみたい」と燃えている。各国リーグのスカウトらも来場予定。プレー次第で未来が変わる可能性もある。

 10分弱の取材で7度も「苦しむ」と言った裏には、ドイツで王者Bミュンヘンと引き分けるなど「全員が楽せず苦しめば強豪だって苦しくなる」経験がある。ブラジル相手に「苦しむのは好きではないけど、解決策がない。真ん中が堅いので僕らサイドの選手が崩していければ」。消耗戦に持ち込み、金星をうかがう。【木下淳】