【ブリュッセル28日】日本代表FW中島翔哉(23)が、欧州組19シーズンぶりの記録を狙う。初参加となった代表ベルギー遠征の解散後、取材に応じ、今季9点を挙げているポルトガル1部ポルティモネンセでの10点目を次の目標に設定。主な欧州1部リーグでは中田英寿(ペルージャ)以来となる、移籍1季目での2ケタ得点到達を目指す。約2カ月後に発表されるW杯(ワールドカップ)ロシア大会メンバー入りへ所属クラブで実績を残す。

 一躍、日本のジョーカー候補に躍り出た中島がベルギーから飛び立った。午前5時すぎの薄暗い空港、チーム1番の早朝便でポルトガルへ。「初めての代表で多くのことを学べた。すごく楽しかったし、またチームに帰ってしっかり成長したい」。いつもの笑顔を見せて搭乗エリアへ進んだ。

 23日マリ戦で1-1に持ち込む同点弾。史上初となる、海外クラブ所属選手の国際Aマッチ初出場初得点を決めた。前日のウクライナ戦は後半34分にMF柴崎と代わって投入され、わずか15分超の出場で両軍最多のシュート3本を放った。

 1-2の後半ロスタイムには、自ら得た直接FKを蹴っている。指揮官は「ウサミ」と連呼してキッカーを指名したが、中島は譲らない。「自分が蹴るつもりだったので『蹴らせてください』とお願いして。(宇佐美も)『自分で取ったファウルだからいいよ』と譲ってくれた」。壁の右脇を狙ったキックはGKにはじかれ「すごく悔しい」結果となったが、この裏話が示す強気な姿勢に、ハリルホジッチ監督も「ナカジマは1つの発見だ。多くの人にはサプライズかもしれないが、ずっと注目していた。満足なプレーを見せてくれた」と手放しで称賛した。

 低調な2試合の中、唯一の収穫とも言える成果を上げた中島。視線はもう、今季9得点の自国リーグに向いている。中3日で迎える31日のホーム・モレイレンセ戦。2ケタの大台に乗れば、98-99年シーズンの中田英寿の記録に並ぶ。欧州移籍1年目の快挙へ「できる限りゴールは狙っていきたい」と意欲を口にした。

 その先に夢舞台が待っている。「やっぱりW杯には出たいし、日本の代表として立つのは喜ばしいこと。ただ、まだ少し(最終選考まで時間が)あるので」と浮かれなかった。運命の23人が決まる5月までリーグ戦は7試合。「今の状態では厳しいと思うので、少しでも成長していくことが大事。W杯のことを考えつつ毎日どれだけ成長できるか」。欧州最西端の国で23歳の挑戦は続く。【木下淳】