日本(FIFAランク54位)が4-3で今夏のワールドカップ(W杯)8強の強豪ウルグアイ(同5位)を撃破した。MF南野拓実(23=ザルツブルク)が2得点し、森保一監督(50)就任から3戦連発となる計4ゴール。新監督初陣からの3戦連発は、Jリーグ発足の93年以降では97年呂比須ワグナー、15年岡崎慎司と並ぶ最長記録。南米の強固な守備陣を翻弄(ほんろう)し、新エースの実力を示した。日本は11月に親善試合2戦をこなし、来年1月のアジア杯に向かう。

世界5位が相手でも、南野には関係なかった。前半10分、左サイドのMF中島がボールを右に動かした瞬間、すぐに動きだした。「パスが来るタイミングとか、あそこで欲しいとか、試合前から(中島に)言っていた」。11年U-17W杯メキシコ大会から共に戦う戦友から、あうんの呼吸で矢のような縦パスが入る。アトレチコ・マドリードのDFゴディンを背負いながら右足トラップで反転。一瞬で置き去りにし、右足を振り抜いた。スタジアムに地鳴りのような歓声を響かせた。

3-2で迎えた後半21分には“嗅覚”を示した。MF堂安のシュートをGKがはじいたボールを、冷静に蹴り込んだ。「こぼれ球はすごく意識していた。しっかり決めることができて良かった」。屈強な守備陣を真っ正面から切り崩し、93年のJリーグ発足以降では97年の呂比須、15年の岡崎に並ぶ新監督初陣からの3戦連発も達成。試合後にはパリSGで活躍するFWカバニから肩を2度たたかれた。敵も認める活躍だった。

ここまでの道のりは長かった。15年1月にオーストリア・ザルツブルクに移籍し、同年10月にA代表初出場。しかし、そこから約3年間招集されず、W杯ロシア大会出場も逃した。同世代の選手が代表で活躍する中で、何かを変えようと新たに瞑想(めいそう)を始めた。心を無にして目を閉じると、プレーにも変化が生まれた。「瞑想を始めてから、ゴール前での集中力が高まった」。この日も最初のチャンスで先制点をもぎとり、2点目はこぼれ球に冷静に右足を合わせた。「代表に選ばれていない時はいろんな思いをしたけど、自分を信じて、焦らずに積み重ねてこれたのがよかった」と振り返った。

ここ3戦4発はもちろん森保ジャパンでトップの数字。実力は十分に示した。今後は同じセレッソ大阪から世界へ羽ばたいた大先輩のMF香川らの招集も予想され、競争はさらに激しくなる。「今は自分に何ができるかしか考えていない。得点してもアジア杯やW杯に出られなかったら意味がないので、地に足をつけて頑張りたい」。新エースとしての道のりは、まだまだ始まったばかりだ。【松尾幸之介】