今季横浜FCに加入したFW一美和成(22)が“下克上”を起こすかもしれない。裏への抜け出し、体の強さを生かしたポストプレー、守備の献身性で下平隆宏監督が「万能型」と評価する逸材。チームでは元日本代表FW皆川、17年のJ2得点王のイバとの競争を制し、開幕先発の座が見えてきた。U-23日本代表の1トップの序列は小川(磐田)、上田(鹿島)の下。オーバーエージの起用もささやかれる厳しい状況だが、結果を残せばすぐに「大逆転」も夢ではない。

G大阪在籍時はJ1では9試合0得点も、昨季はJ2京都で36試合17得点と爆発した。これまでは「味方に呼ばれたらパスを出すタイプ」だったが、京都では定位置をつかむため、ストライカーのエゴを前面に出し、好機とあらば貪欲にシュートを打った。「ガンバの時は、タレントの選手がいて、その選手が決めてくれればいいという気持ちがあった」。だが、京都では「自分が決める」とのエースの自覚が芽生え「エゴを出すからには決めないと」と自らプレッシャーをかけ結果を残し続けた。

一美の言葉で思い出したのは、昨季まで担当した川崎FのFW大久保(現東京V)とFW小林の姿。常に「自分が点を取ってチームを勝たせる」とエースの自覚を口にし、好機で外してもめげることなくシュートを打ち続け、得点王を手にした。一美のメンタルもまさにストライカー気質。熊本・大津高2年時にセンターバックからFWへ転向し、FW歴が浅い分、伸びしろも未知数だ。早い時期に得点が取れれば、逆転での東京オリンピックへ一気に加速する。【岩田千代巳】

◆一美和成(いちみ・かずなり)1997年(平9)11月10日、熊本県八代市生まれ。大津高在籍時の14年、全国高校総体準優勝。16年、G大阪に加入し、J3開幕戦のY.S.S.C横浜戦で先発。18年、ルヴァン杯横浜戦で初得点。J3通算75試合19得点。J2通算36試合17得点。181センチ、77キロ。血液型AB。