森保ジャパンの帝王へ-。サッカー日本代表MF南野拓実(26)が「名言」を体現した。

日本代表(FIFAランキング27位)がモンゴル(同190位)に14-0と圧勝。テレビ中継で訪れたホスト界の帝王ローランドが見守る前で、南野は前半13分に左足でゴールを決め、ゴールラッシュの扉を開けた。これでW杯2次予選初戦のミャンマー戦から5試合連続ゴール。森保ジャパンでの最多得点数を13に更新した。F組首位の日本は5戦全勝の勝ち点15とし、次戦に勝てば最終予選進出が決まる。

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フクアリのテーブルからゴールの大量注文が入った。乾杯の音頭を取ったのは、NO・1の「タクミ」。日本での開催ながら、アウェーのゲーム。ホームのアドバンテージをなくすため、スタンドに客はいない。もちろん「タクミコール」も響かない。そんなことは、帝王には関係なかった。“俺か、俺以外”だから。前半13分。ペナルティーエリア中央で右サイドからのパスを受け、左足を華麗に放った。ゴールというグラスに、タクミのボールが注ぎ込まれた。

中継テレビの副音声に出演したホスト界の帝王・ローランドは「南野選手は高性能のオートマ車」と“らしい”言葉で絶賛。マニュアル車ならば、時に「エンスト」も起きる。“本家”を前に、完璧なドライブで魅了した南野は前日29日の会見で「名言」を残していた。

南野 ゴール前にシュートを打ちに行く、ゴールへ向かうためにどうしたらいいか、嗅覚、感覚は研ぎ澄まされている部分かなと。

トップを走る男だからこそ、分かる「モノ」がある。言葉だけで、終わらせないから一流。あえてプレッシャーの掛かる言葉をお残し、その翌日に得点という結果を示した。

名実ともに、森保ジャパンでの帝王道を歩む。この得点で、同体制での最多得点を13に更新。2位はFW大迫の10。そんな頂を走る男の背番号は「10」。それまで「9」だった数字は、20年10月のカメルーン戦からエースの称号へ変わった。

もちろんNO・1の椅子は1つだけ。トップへ上り詰めるのは、いばらの道。リバプールでは出場機会に恵まれなかった。「自分の力を証明したかった」と冬の移籍期間最終日に、サウサンプトンへ電撃移籍。男を磨くため決断した。

常に結果が求められるのが背番号「10」であり、エース。新型コロナウイルスの影響で、あらゆるスポーツが活動を控え、W杯予選にも遅れが生じた。そんな中、W杯2次予選初戦のミャンマー戦からの5試合連続ゴール。5戦連発といえど、19年9月から3年越しの連続得点。まさに研ぎ澄まされていた。

試合後のインタビュー。ナンバーワンの「タクミ」は、出てこなかった。去り際の美学。帝王は背中で語り、ピッチを後にした。1年4カ月ぶりの代表戦。多くのファンが、画面越しに酔いしれた。【栗田尚樹】

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◆日本が14ゴールを挙げて大勝した。日本が国際Aマッチで1試合14ゴールは史上2位。最多は67年9月27日のメキシコ五輪予選フィリピン戦(国立)で15-0。

◆ローランド(ROLAND)1992年(平4)7月27日、東京都生まれ。小学校でサッカーを始め、中学時代は柏の下部組織、高校は帝京でプレー。大学を中退し、18歳でホストデビュー。「現代ホスト界の帝王」と呼ばれ、名言を生み出すキャラクターとしてタレント活動も。有名な語録に「世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か」。