サッカーW杯カタール大会に向け、6月にブラジル戦など4試合を行う森保ジャパンが30日から活動を開始する。今回のメンバーで唯一、初招集となったのがドイツ1部シュツットガルトDF伊藤洋輝(23)。この1年でJ2から本場・欧州への移籍、A代表と駆け上がった伊藤が、今季を振り返るとともに日本代表への意欲を語った。

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伊藤は初のA代表の活動に向け、国内で自主トレーニングに励んでいる。

「帰国してベタ休みしたのは4日ぐらい。実家(浜松)でうなぎを食べたり、のんびりしていました。オフが短いですが、それは選手としては幸せなこと。試合までにコンディションを上げて、まずは1キャップ(初出場)を目指したい」

大躍進の1年だった。21年夏に当時J2だった磐田からシュツットガルトへ移籍。当初はセカンドチーム(ドイツ4部)への加入予定だったが、シーズン前のキャンプで1週間、トップチームに同行。トップ加入へのテストだった。もちろん本人も分かっていた。

「緊張はなかった。もともとセカンドの予定で来ていますから。ミスを恐れずいつも通りできました」

トップ昇格の切符をつかむと、今季は3バックの左を主戦場に29試合出場、1得点と結果を残した。

「監督に恵まれました。自分が持ったら斜めに蹴れとか、自分の特長をチームに浸透させてくれた。自分が日本でやっていたことを、それなりに出せたというのもある。守備では下がらないように意識するようになった。それを見て背後を走ってくる選手も出てきますが、それをどう対応するかもだいぶつかめてきた」

最終節でケルンに競り勝ち18チーム中15位で残留を決めた。CKをニアサイドの伊藤が頭で流し、遠藤の決勝点をアシストした。

「人生で1回あるかないか、という大一番。1部に残ったら(W杯への)チャンスは増えると思っていましたし、こだわりはあった。W杯イヤーの来季、1部でできるのは大きい」

188センチの大柄で左利きという個性。ドイツでの結果が評価され、夢のW杯も現実味を帯びてきた。6月の4試合はカタールへのサバイバルとなるが冷静だ。

「シュツットガルトのキャンプの時と同じ心境で、自分の持っているものを出すだけ。自分の良さを出すことです」

シュツットガルトは3バックだが、日本代表は4バック。左サイドバック、センターバックでの起用が予想される。左サイドバックは磐田やシュツットガルトで少しの経験はある。

「4枚と3枚ではプレースタイルも変わると思います。そこは周りの選手が求めることもありますし、自分なりに考えて、聞いたり話したり。何より、日本語で話せるので自分にとっては大きい。楽しみです」

頼もしい新戦力が、森保ジャパンに加わった。

【岩田千代巳。岡崎悠利】

◆伊藤洋輝(いとう・ひろき) 1999年(平7)5月12日、静岡県浜松市生まれ。大型の技巧派ボランチとして中学時代から磐田の下部組織でプレー。高校3年の17年5月にトップ昇格。19年、名古屋へ期限付き移籍。20年にJ2磐田で37試合2得点。J1通算3試合0得点、J2通算57試合4得点。21年6月、一般女性との結婚とシュツットガルトへの移籍を発表。188センチ、81キロ。