11月20日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会に向けた強化試合で、日本(FIFAランク24位)は米国(同14位)に2-0で快勝した。

MF久保建英(21=レアル・ソシエダード)は、4-2-3-1の2列目の左で先発し、大人の対応で存在感を発揮した。前半は、相手のサイドバックとウイングが高い位置に出てきたことで、守備に比重がかかる状態になっていた。本来は攻撃で違いを見せる久保だが、エゴを抑え、チームのために守備に徹した。黒子になった久保がカウンターの起点となり、幾度となく好機をつくった。

久保 「相手が前半、変則的な形で攻めてこなかったら、僕が中に入ってもっと自由にやりたかったですけど…。その分、相手のサイドバックがウイングバックのような位置を取って、中山選手に張り付く形だった。その分、僕が守らなくてはいけないなと感じていて。僕としては不本意でしたけど、チームの勝利のために、僕は1つのピースでしかない。守備のタスクが周りの選手より多かったと思うが、それは、チームとしての決まり事。要所要所、カウンターの起点になれた」。

特に、守備の強度で確かな成長を感じさせた。簡単には倒れず、相手への寄せの迫力と強度も明らかに増していた。「久保節」を交えながら、確かな手応えを口にした。

久保 「負けなくなっていると思う。僕のサイドでバーッと上がられて、チームが苦しいときに止められたので、良かった。勝率は分からないが、いいピッチだったら詰まらずに持って行けたシーンもあった。相手が今日、ラッキーだったんじゃないかなと。あんな変な形で攻めてくる相手はなかなかいないと思うので。(今後は)攻撃の部分で最初から、自分のやりたいプレーは出せるかと思いますが。良かったと思います。全体的には」。

W杯アジア最終予選では中盤が3枚のシステムで戦ってきたが、この日はトップ下にMF鎌田大地(26=アインラハト・フランクフルト)を配置し、4-2-3-1に変わった。トップ下を置くメリットを、久保はこう振り返った。

久保 高い位置でトップ下の選手が絡むことで、サイドバックからウイングの縦のパスだけではなくなる、FWの1つ下がいることで攻撃の幅が広がり、高い位置でビルドアップができるようになる。僕としては4-2-3-1のメリットかと思う。

W杯カタール大会まで残り2カ月。チームの完成度は、本大会前に格段に上がっていることへ自信をのぞかせる。「決まった共通認識だけでは戦えないと思う。土台があった上で、そこのチェンジ、コミュニケーションの部分を積極的に取っていきたい」。サッカーIQも含め、攻守でさらにたくましくなった久保が、日本代表のメンバー争いに大きく前進している。