23年女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会で快進撃を続けるなでしこジャパンは、11日にスウェーデンと準々決勝を戦う。期待されるのが5日の決勝トーナメント1回戦・ノルウェー戦で出番がなく、休養十分なMF猶本光(29=三菱重工浦和)。勝負強さを身につけ、29歳にしてW杯初出場をつかんだ苦労人に、11年W杯ドイツ大会優勝メンバーで“師匠”ともいえる安藤梢(41=三菱重工浦和)がエールを送った。

なでしこジャパンの池田太監督は5日のノルウェー戦で交代枠を1人しか使わなかった。準々決勝まで中5日で、回復の時間が長いということもある。だがそれ以上に、1次リーグ同様、スウェーデン戦では誰が出ても戦えるという自信があるからこその采配だ。

そんな中で期待が集まるのが、独フライブルクでのプレーなども経て「ゴールを決めきる勝負強さ」を身につけてきた猶本。猶本が筑波大、同大学院、三菱重工浦和と追いかけ、師と仰ぐ安藤は「決勝Tでは少ないチャンスを決めきる力が勝負にすごく関わってくる。(得点したコスタリカ戦後に連絡すると)1点じゃ足りないという感じだったので楽しみ」と話した。

猶本は10年U-17W杯準優勝で脚光を浴び、20歳でA代表に選ばれた。しかし15、19年のW杯、そして21年東京五輪でメンバー落選。今回29歳でようやくW杯のピッチに立った。

安藤は「ドイツに行って日本人が海外で信頼を得るには目に見えるゴールという結果を残すことが必要だと学んできて。すごくゴールにこだわって練習に取り組んできましたね」とその成長について説明する。

安藤が中心となって、浦和の選手たちが練習後に行う自主トレは「安藤塾」とも呼ばれる。しかし「よくそう言われますが、彼女(猶本)の方がすごい(プレーを)分析して。こうした方がいい、ああした方いいと取り組むので。私の方が学ばせてもらうことが多い」。猶本は移動の車の中や、練習前のロッカー室など暇さえあれば自分のシュートシーンと、自ら編集したメッシら有名選手のシュートを比較。「点を決めても『ここがメッシ選手と違う』とかすごくこだわる。そこまでしなくていいんじゃないのっていうくらいやるので、私も彼女から学んでシュートがうまくなっている」と安藤は笑う。

安藤から見て1次リーグでの猶本はシュート以外にも多くの良い部分が出ていたという。「優勝候補と言われていたスペインを相手に球際で戦えていたし、1対1でも負けない力強さや、ハードワークしてたところが、やってきたことを出せていた。感動をもらいました」。“師匠”は猶本が再び日本中の心を震えさせるようなパフォーマンスを出すことに期待している。【千葉修宏】